一覧たび談

地域のすっぴんを見せる

絵の具は色を重ねていくと黒に近づく。
光は重ねていくと透明になっていく。
観光は地域の光を見ることとも言われる。
色々上塗りした地域が良いか、透明でよく見えない地域が良いか、そこはバランスだ。
ただし様々な資源と多彩な人が放つ色彩を収束させると未来を示す光になる。
観光は「ハレ」の場を見せるところとして発展してきた。
東京などの大都市観光は「ハレ」の場の結晶だが、絵の具で塗り固めたエリアだ。
人の欲望を煽る情報がたれ流れ、誘蛾灯のように人を引き寄せる。
だがそれは幻夢社会だ。真夜中まで明るい大都市は、重ね塗りで漆黒となっていることを隠している姿なのだ。
日本は無駄を削り取ることで「わび・さび」の文化を完成させた。
その潔い文化に触れたいと内外の観光客がやってくる。
農林漁業をベースに都文化が混じり合い、成立してきた地方文化は日本らしさを残す最後の砦だ。
大都市と対極し地域は「すっぴん」を見せる観光をしよう。
都市と同じ絵の具で塗る固めることは厳禁だ。
厚化粧に向かっては何の意味も無い。
「すっぴん」を見せるには化粧品のCMではないが、肌の透明感が大切となる。
お日様に輝く自然や光を当てれば輝く人がいる。
日常の営みがキラキラしている。
月夜や星空の下を懐中電灯無しで歩けるのに欲張る必要は無い。
そんな魅力をいかにして未来へつなぐか?
住んでいる人の気持ちに溶け込むような観光こそ地方観光の向かう道だ。

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