一覧たび談

地域を育み持続させるRMO(その1)

1.新しい公共は今
国や地方自治体の財政難が顕著になった小渕内閣時代に「新たな公」(現在では新しい公共)という概念が都合良くイギリスから輸入された。その後、自民・民主の歴代内閣は「官」から「民」への大合唱。その受け手の帰着先はNPOだった。
平成22年1月の第174回国会で鳩山首相は「人の幸福や地域の豊かさは、企業による社会的な貢献や政治の力だけで実現できるものではありません。今、市民やNPOが、教育や子育て、街づくり、介護や福祉など身近な課題を解決するために活躍しています。人を支えること、人の役に立つことは、それ自体が歓びとなり、生きがいともなります。こうした人々の力を、私たちは「新しい公共」と呼び、この力を支援することによって、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生するとともに、肥大化した「官」をスリムにすることにつなげていきたいと考えます」と施政方針演説を行った。
これに呼応した一つがNPO/NGO、生協、労働組合、社会的企業等で設立された「新しい公共をつくる市民キャビネット」だろう。同組織は、?分野別および総合的に政策提言を策定し、政府・政権等を交渉・協議し、市民政策を実現する、?新しい公共政策の受け皿として、新しい公共サービスを担い実施する。そのために、公的資金のアカウンタビリティを確保しながらNPOなど民間団体の自律性を保障する仕組みやルールを構築する、?市民的立場から広く施策・行政・関連法人等を点検・評価する、ことを目的としており、従来の陳情組織とは異なり、NPO・市民団体が公益活動を自らの責任で担い、政権が目指す「新しい公共」を実現する組織であるとしている。
財源が脆弱であったNPOや新しい政策提言をしたい大学教授にとっては願ったり叶ったりであったろうし、ダウンサイジングしたい国や自治体も「行政業務下請けの打出の小槌」と捉えたに違いない。
日本国内におけるNPOや寄付活動が成熟していない中で、果たして「新しい公共」は現在機能しているか。各省庁の助成金メニューの一つに貶められていないだろうか。

2.中間支援組織とNPO法人
 ボランティアは無料奉仕と勘違いする人たちが多い。残念ながらNPO内部の人でさえ、そのように思っている方々も多く存在する。
阪神淡路大震災をきっかけに国内のボランティア精神が醸成され、平成10年には「特定非営利活動促進法」(NPO法)が施行され、これを契機に市民が自由に社会貢献活動を行うNPOが急増した。
しかしこれら団体の能力はNPOが受けられる助成メニューを主務に、行政が都合よく活用できる紐付き団体(異論ある関係者もいるだろう)ばかりで、法律上で様々な恩恵を受けられ、独立した理念と運営を行える認定NPOは僅かである。
筆者は認定NPOでなければ駄目だとか、各NPOの活動を否定しないし、崇高な理念を掲げ日夜頑張っている団体の方々を非難するつもりはないが、自己都合の思い(廻りからは傍迷惑と思われている)だけの団体や、社会貢献の名の下に助成金や補助金狙いの団体まで含め、果たしてNPOで良いのかと首を傾げたくなる玉石混淆の事実を述べているだけである。
このように未成熟なNPOをサポートするために各県で財政支援をする中間支援組織、いわゆるNPOセンターやボランティアセンターなどと呼称されるインターミディアリーが創設された。しかし官製組織であり、その業務は助成金や補助金の情報提供と内輪のネットワークづくりや運営者の人材育成に留まっている感がある。このため中間支援組織が現場に足を運ぶことや汗を流すことがなくNPOに限定の矮小化された組織となっている。
 ではインターミディアリーは何を為すべきか。前項で記述した「新しい公共」を推進する核組織がインターミディアリーであり、基本は行政や市民、企業、団体、金融機関と連携強化を図り地域の総合力を結集させることだ。つまり行政と市民の協働という狭隘な分野でなく経済から暮らしまで全方位的な組織が理想となる。(その2に続く)

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