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改めて地域再生を考える3

■守るエリアを選ぶしかないか
過疎化、高齢化したエリアを全て守れるか?という問いに、明快に答えられる人は高名な学者を始め専門家と言われる方、地域で実際に頑張っている方々でもいないでしょう。
明らかに従来の市町村の体制ではカバーできないほど過疎山村エリアは疲弊しています。
実際、分散した集落や農地すべてを守るのは物理的に不可能な状況です。
集落や農地だけでなく、上下水道や橋、トンネル、公共施設でさえ維持できなくなる世界が迫っているのです。
「全部守る」ことができないなら絞るしかない。
残念ながら、これが事実です。受け止めるしかないのです。
かつての農山村では、農地や里山の利用、草刈り、薪炭林の管理、山道の維持などの日常的な営みを通じて、人々は意識せずとも森や田畑を管理してきました。
しかし人口減少や高齢化によって、その機能は急速に弱まりました。耕作放棄地や放置林、そして空き家が増加したのです。
その結果、どうなっているでしょう。
山間部の土砂崩落や土石流、山火事、下流域の都市部の氾濫、洪水など様々な災害を引き起こす要因となりました。
つまり人口減少は単に経済が縮むことではなく、これまで中山間地の集落が無償で維持してきた山や川の保全ができなくなっていることが大きな問題なのです。
■崩れた境界を誰が再生するのか
地方や山間部の人口減少は、国民の生命を守る力が失われることを意味しています。
昨今の異常とも言えるクマ出没は、山と里の境界線が喪失したことも要因です。既に人間界、それも都市部までクマだけでなく、鹿にイノシシ、サルなどが頻繁に出没するようになりました。これは山の食物環境が大変な状況なのではなく、山と里の境界が消え、人間社会は野生動物にとって住みやすい環境になってきたという構造変化なのです。
かつての農山村は、薪と取り腐葉土を集め、放牧や焼き畑農業を営むなど、山との共生社会が存在しており、そのため日常的に山を歩いていました。この人間活動によって形成されたこの空間は、人と自然の間の暗黙の緩衝帯が形成されていたのです。
昨今の様々な環境問題は、グローバルにみれば地球温暖化でしょうが、身近で見れば人口の不均衡が大きな要因です。野生動物問題は、人口減少社会が最も目に見える形で現れた環境悪化現象であり、この問題を単なる鳥獣被害対策や捕獲強化という狭隘な出来事に留めてはいけません。集落周辺の草刈りや緩衝帯の再生、放棄農地の管理、里山整備などに従事する担い手は著しく不足しています。崩壊しつつある境界そのものは、国防として再構築する取り組みが必要と言えるでしょう。
空気や水はタダではありません。人口が激減する山村上流部の努力があるからです。もちろん洪水の制御も同様で、安全には多大な費用が掛かります。
その一翼を担っている地方の住民に手を貸してください。

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