野菜が高騰した。米がない!とマスコミが煽り、そのたびに消費者は右往左往する。
どうも農業の特殊性を理解していない。
日本の農業は自然環境と共生、調和することで成り立っている。
さらに大切なことは先祖からずっと土地を耕し豊かな土壌に変えたり、歴史風土や地域の自然環境を育んできた。
問題は戦後の食糧増産を推進する中で、農薬や化学肥料を推奨。
とにかく食糧増産のためなら自然を破壊しても問題は無いとしたことだ。
昨今、ようやく政府は、有機栽培を推進する政策を打ち出しているが、農業は自然を支える活動でもあり、農村の環境保全で大きな役割を担っている。
何度も言うが「田んぼのダム機能」が水害を防いできた。事実、水田が減少したことで下流域の水害は多くなっている。
識者は田んぼを集めて法人が大規模経営すれば解決すると簡単に言うが、それは平地農業の場合に限定される。
本当に美味しい米は水が綺麗な中山間地域で個人農家が丹精込めて作っている。
だが高齢化し離農していく農家を留まらせることは不可能である。
休耕した田んぼの復田には、新たな農業担い手が必要だ。
農業をやりたいと希望する若者を支援し、継続して農業が営める金銭的なサポートを行うことで、多くの若者が農林業を職業として選択してもらえるよう政府として具体策を提示すべきだ。
食料安全保障で多くの国が農業に補助金を出している一方で、日本政府はガット・ウルグアイラウンドで農業への補助金を制限した。
フランスやアメリカの農家に対する『直接支払い』(価格形成に介入せず、直接農家に支払われる補助金)は、フランスが約480万円(日本の約3.6倍)、アメリカが約1,424万円(日本の10倍以上)となっており、主要品目は安価で提供あるいは輸出できる一方で、農家は一定の所得を保障されているため再生産が可能だ。
中山間地域には『環境保全』や『景観形成』をメインにした助成を行うスイスタイプが良い。
山間部の農業を維持するため生産をしていれば、ほぼ100%の助成があり、生乳は安くなる代わりに、酪農家には直接支払金が手厚く、アルプスの放牧景観はこうした補助金で成り立っている。
日本に食糧危機がこないよう政府は農家への所得保障を行うべきである。