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地域再生の切り札9―持続可能な未来には女性活躍が欠かせない

■発展する経済や多様な文化形成に寄与する移民
先進諸国では、女性の社会進出が高い国ほど出生率が上がっているという。
女性の地位向上が社会を変革していく源泉となる。
オーストラリアは女性の首相のころより、移民政策を積極的に進めたことで労働力を支え、様々な産業振興に寄与している。
 日本はいくつかの在留資格で外国人労働者を認めている。グローバル化や技術の向上などを在留目的とした「高度人材」、単純労働も認める「技能実習生」や「特定技能実習生」、さらにアルバイトまでは認められる「留学生」ほか様々な形でおおよそ204万人(2023.10月末)を越える労働力を確保しているが、低賃金や過酷な労働条件下で働いく技能実習生もおり、人権侵害まがいの雇用形態さえある。
 昔住んでいたアパートの隣にブラジルから来た家族が引っ越してきた。子どもたちと同年代の子どももおり、贈り物をしあうなど仲良くさせてもらったが、彼らのコミュニティは同国人のコミュニティ内で完結しており、地区の一員として溶け込む事も無く、数年で突然引っ越して行ってしまった。精密機械の製造に係わる労働者と思われ、賃金の良いエリアへノマドのように移動する民であったと思われる。
近年、日本の安い賃金で無く高額賃金の米国やオーストラリアへ出稼ぎに行く傾向が続いている。困ったことにセックス産業まで米国や韓国ほか他国へ稼ぎに出ることで、普通に入国したい女性まで疑いの目で見られる事態が発生している。
日本の賃金が上昇してもまだ、諸外国の方が圧倒的に高賃金であり魅力があるのだ。とは言っても最近、語学留学生のバイト先や高額賃金に夢を抱いた若者が、オーストラリアに渡航したものの雇用してくれる場が無くなり、予定していた生活ができず苦慮していると聞く。
 一方で日本へ向かっていた技能実習生も、日本ではなく他国へ目を向けだした。
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生物の発展過程では異種との遭遇で、ミトコンドリアレベルの融合が起き、生き残る術を獲得してきた。
気候変動が大きな要因とされるが、人類は移動することによって繁栄を極めた。当然その移動中には異種の文化との出会いもあり「火」を扱うなど地球上で繁栄する知恵を得た。
移民による効果は単なる労働力の確保だけでは無い。
つまり多様な文化や考え方、そして新たな技術力を取得する上で、異質の文化社会の人たちが不可欠だ。
オーストラリアでは人口増加によって、内需を押し上げると共に、労働力の質の向上が図られ経済成長の原動力となっている。さらに新しいビジネスや産業を生み出す原動力になっている。
国外からの移住者を受け入れ、国全体の経済成長を牽引することが日本の生き残る道だ。
■ジェンダーギャップの解消を
私の居住する地域には大学は無いが女子短大が1つあり、県外からの学生も多く卒業後に飯田で就職し、パートナーを見つけ結婚するパターンが少なからずある。
そのため飯田市は大学などの高等教育の場があることが重要と考え長年、大学誘致をしているが今も実を結んでいないことは残念だ。
若手や女性が活躍していたり、若者が暮らすことで、まちの活気や賑わいがある事例が全国にある。
女性や若者に魅力的で暮らしやすい地域になるために、多くの女性や若者からヒアリングしたり意見交換が必要だ。
そこから住民一人ひとりが多様な幸せを実感できる社会はどのようなものか。これは全国共通の課題だが、解決方法と結論は決して1つではない。
行政は現場で丁寧な調査・検証を行い、仮説を立てつつ、従来の取組を超える新たな発想に基づいて施策立案し実行していくことが求められる。
ただし移住世帯に◯万円交付とか、新築住宅に最大◯万円の補助などは、施策ではないただの金配りだ。大事なことはホンモノの豊かさの「見える化」であり、住民が皆、その豊かさを表現できるようになることである。誇るなら「未成年の自殺者ゼロのまち」で競走して欲しい。
地方創生は地方へ人の流れを作ることが主眼であり、地域を愛してもらい移住してもらえる取り組みを行う地方自治体の力量、とりわけリーダーシップと職員の資質が問われている。
地域のアップサイクルとなるような新施策を構想しよう。
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ジェンダーギャップ解消は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の一つだが、実態はとても女性に優しいとは言えず、差別は非常に根深いものだ。
出生率が右肩下がりで将来、絶滅危惧種になると言われる日本人。
男がどうあがいても現状では人口減少を止められない。
女性差別が少ない国は、女性の閣僚が多い。
地域も女性議員の数や諸々の役員を女性に転換していくことも着実な地域変革の芽出しとなる。
結論を言おう。
今まで台所や老親介護にいた女性たちから「夫は仕事、妻は家庭」の観念を取り去らない限り地域に子ども(女性)はもどらない。
多様な声を聞く環境づくりを推進するために、古い社会システムの尻尾をつけていないで、男性は地域づくり、まちづくりのリーダーを女性に譲り、裏方に回ろう。
そして女性が職場や家庭で働きがいを感じる環境を整備しよう。
ことさら女性差別を無くそうと言わなくても、地域が変われば女性は戻ってくる。
様々な男の既得権益を分けることで結果的に女性差別が減れば良いのだ。
速攻で手を付けて欲しいのは、家庭からジェンダーギャップを埋めることだ。
各家庭のギャップが縮まれば、コミュニティや仕事のギャップが縮小する。
家庭での役割分担を見直して、夫婦仲良く暮らす親の背中を見て育つ子どもは間違いなく変容するはずだ。

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