2023年、合計特殊出生率が1.2と過去最低を更新。
出生数は過去最低の約73万人に落ち込む一方で、死亡数は史上最多の約158万人に達している。
NHK大河「べらぼう」で描かれる吉原。
貧乏で自ら身を沈めた女性もいるが、地方の農民が貧しさに耐えられず親が子どもを売り、そうした子どもが遊女となって働いていた。
さすがに現在は東京へ人身売買する親はいないだろうが、頭の中は立身出世を勝手に夢見て有名大学へ送り出す。
18歳まで子どもに大金を投資しているが、その投資まるごとを大都市に献上し、子どもたちが上流層に優先入場するファーストチケットの取得を見返りと考えている。
しかし親だけで子どもたちを育てたのではなく、地域に育てられたことを忘れてはいけない。
地域にその感謝を還元する一番は、地域に子どもを取り戻すことだ。
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田舎の集まりでは都市部には無い地元の暗黙の「しきたり」が存在する。
その「しきたり」は、女性は台所に近い席にいて、お茶出しをしている姿だ。酒席が伴う集まりでは完全に「お接待」の仕事となる。
女性は会議参加ではなく接待係でいるわけで意見を述べるなどあり得ない。
あなたのコミュニティでは思い当たらないだろうか。
これを問題と感じていない地区民が一番の問題にも係わらず「夫は仕事、妻は家庭」の概念は地域全体に蔓延っているわけだ。
こんな窮屈なディストピアには誰も居たくない。
テレビでは何もかも欲求を満足させる大都市の暮らしを垂れ流し、SNSでもキラキラ生活が投稿される。どちらも虚構の暮らしだが若者、特に女性には虹の彼方のエメラルド・シティに見えるだろう。
世界から略奪してきた財でヨーロッパはできた。米国は移民によって活力を出している。
日本は江戸幕府ができたときから現在まで地方から、人・モノ・金を収奪して繁栄を極めた。
■観念が変わらない地域から若年女性が消える
人口減少問題や地域創生のキーポイントとなるのは若年女性とようやく気づいたようだが、進学や就職のタイミングで都会へ流出した女性が地元へ戻ってこない。
なぜ戻らないか。理由は簡単である。
前述したとおり「地方で生きる」ことに息苦しさを感じているのだ。
男性中心の社会では、何かと女性であるという理由で能力が発揮できない状況もあるが、一番は住民の意識だ。「いつ結婚するんだ」「子どもはまだか」と、結婚することや子どもを産むことが義務のごとく上の者が男女を問わず口にする。
これでは私でも早く立ち去りたいと思う。
若年女性の流出は少子化に直結し、地域の人口減少が加速することを察した地方自治体の多くが結婚や出産、子育ての支援に力を入れている。
だが「近隣のまちは〇〇円の定住支援金や子育て手当を出している」から、我がまちもやらないといけないなど経済面だけを全面に打ち出し、自治体間で人の 取り合いをしても、一部の自治体以外は成果が出ない。加熱する「ふるさと納税」と同様のことが、全国の自治体に起きているのは明白である。
しかもその自治体間競争を煽る政府と、東京発の濡れ手で粟ビジネスが自治体に入り込み、金太郎アメな計画を実行させようとする。
空虚な自治体間のたたき合いなど愚の骨頂であり、止めないといけない。
石破首相は「楽しい日本」を目指すと唐突に述べたが、基本方針が示され、ようやく理解できた。まさに自治体自ら「楽しい地域」を目指すことが重要なのだ。
地域や家庭における性別役割分業の意識を変えていくといった、多方面での取り組みが重要
埼玉県の横瀬町では教育基本方針に「楽しく、たくましく生きる力を育む」をあげている。やはり第一に考える施策は、住民が楽しく暮らしているか。子どもたちが我がまちを楽しいと思えるかが大切だろう。
一方で観光客誘致に限定した「歩いて楽しいまち」と標榜する自治体もあるが、稼ぎの前に住民生活の向上ではないだろうか。と言えば、観光で稼いで住民生活を良くすると答えるだろう。
近年のライフスタイルの変化で、自分の価値観や家族、生活環境を重要視する人が多くなっており、どちらが卵か鶏かの問答を続けても永遠に課題は解決しない。
次のことは誰でも理解できるだろう。
・女性が就職したいと思える働き場所を創る。
・女性が暮らしやすいと思える場を創る。
・理想の子育て環境を創る。
しかし理解はしていても、移住・定住について住民の理解を得る協議をしているだろうか。
住民が本気で受入に協力してもらえるよう話をしているか。
地域に新しい価値を創発する努力をしているか。
移住促進の施策づくりは、まずそこからだ。
住民との協働なくして実行段階には移れない。
移住希望者が「ここには自分の居場所がある」と感じてもらえることが大切だ。
次が在住者の満足度が高いまちの魅力づくりだ。
暮らしや子育てには「地方が良い」とする都市在住者が半数ほど存在する。
食べ物や自然環境に課題が無ければ、現実とのギャップを無くす努力をすることだ。
変革に必要なのは、産学官民を含めた多方面の連携が求められるし、外部有識者からのアドバイスも不可欠だ。