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地域再生の切り札7―人口減少であたふたしない

■人口減少は移民で解決するのも一手
 トランプ次期大統領は、選挙中から移民排除を打ち出していた。米国は移民により繁栄し、現在も移民無しでは経済が廻らない状況にあるが、トランプ2.0になった時、米国はどこまで本気で強制送還を実行するのだろうか。
 現在の日本は「移民」という明確な法的定義がなく、政府も「移民政策」という言葉の使用を避けている。蒙昧な理屈の「単一民族」という檻の中で頑なに「何か」を守ろうとしている。
 しかし実質は2021年末時点で在留外国人数が約276万人と総人口の約2.2%を占めている。さらに不法移民や不法では無いが滞在を続ける中国人が相当数いることも確かだ。
 コンビニに飲食店、工場から介護施設、さらに農村現場など、いまや外国人が働いている姿は日常であり、日本はすでに「移民大国」になっている。
 出入国在留管理庁によると、令和5年6月末の在留外国人は過去最多の3,588,956人。うち外国人技能実習生と称した労働者は40万人を占める。さらに6年度から5年間で受入外国人の枠を約2.4倍の最大82万人に拡大する方針だ。
 国立社会保障・人口問題研究所が公表したシナリオの一つでは、2070(令和52)年には人口8,700万人の1割超が外国人になると推定している。
 ピーター・フォンダ主演の「イージーライダー」という映画をご存じだろうか?
 自由に生きたいと旅に出た若者が、理由もなく田舎で銃殺される悲しい結末の映画だ。映画が公開された1960年代は「不信感の時代」と言われ、「ヒッピー」が社会現象となっていた。
 映画で描かれたのは、ただよそ者を毛嫌いする農民と若者のコミュニケーションができなかった「異文化摩擦」を捉えた、何とも救いの無い米国社会が際立って見えた。
 トランプ政権は政府のDEI(多様性、公平性、包摂性)プログラムを廃止する大統領令に署名した。黄金時代がやってくるとトランプが息巻く。何やら当時の南部の状況、あるいは南北戦争以前に戻したいようにも思える。
 日本国内でも移民の受け入れへの抵抗感が根強い。
 さすがに理不尽な敵意を向けることは無いが、地方では在留外国人による犯罪の増加も怖いと、イメージだけで忌避する旧来の価値観のコミュニティは社会秩序が壊されるとしか考えない。
 行き過ぎた嫌悪感は対立が深まるばかりだ。こうした劣化版の共同体が若者や女性にとっては息が詰まる。
 私の親戚の専業農家では、年間を通じて外国人が働いているが、実に真面目で黙々と働いている。
 育った環境や文化、国籍が異なれば習慣や考え方は違う。
 人類皆兄弟と昔から言う。コミュニケーションを闊達にしていれば期待感は増すはずだ。
 働き手は欲しいけど外国人労働者は勘弁だとする、排除の考えでは持続する地域にはほど遠い。
 停滞する地域経済や生活環境を上向きにさせるには、人口が右肩下がりの国内でなく「移民」にも門戸を開きコミュニティに迎い入れることを真剣に考えるしかない。
 ゆえに政府も技能実習生など短期的な労働力不足解消の受入でなく、長期的な視点で地方創生として移民政策を展開すべきだろう。
 単なる日本語教育ではなく、日本の歴史や多様な文化、そして現状を理解してもらえるよう移民が日本社会に適応できるよう支援することが重要であり、そこに税金を投入してもよいのではないだろうか。

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