先進国でも最低の教育予算で本当に少子化を食い止めることができるだろうか?
文部科学省の2016年度調査で、少子化などで規模に課題を持つ公立小中学校を抱える自治体のうち、42%が統廃合の検討予定がないことが分かった。統廃合しても校舎を新増築すれば、平均で20億円前後、既存施設を使う場合でも600万円弱かかる。さらに通学範囲の拡大に伴い、バスの新規購入に平均約1800万円がかかるからだ。もちろん費用面だけで無く地元住民の統廃合反対の声が大きいことも作用している。
直接、関係ない住民や外部の者には、自分たちの利益を優先し合理化を反対しているけしからん地区住民と映るかもしれない。これはゴミ焼却場建設、もっと大きく言えば米軍基地問題などと同様に自治体公益という便利な言葉で進めるか?それとも地区民益で考えるか直接利害者と関係ない者との考え方の差異に似ている。
◇廃校活用を考える
今、全国で学校の統廃合が進んでおり、統廃合は大都市部でも多く、過疎山村のみ課題では無くなってきている。
全国の廃校発生数は、平成26年度477校、平成27年度520校あり、平成14年度から平成27年度に発生した廃校の数は6,811校となっている。
そのうち廃校が現存しており、利活用の活用状況は文科省のデータによると次のようだ。
活用されてるケースを注視すると、その活用は地域で千差万別であり、大別すると下図の状況である。
やむなく統廃合されても地域資源として活用できていれば良いが、問題は地域等からの要望がない(48.7%)とか施設が老朽化している(37.5%)との理由で放置している点だ。たしかに財政効率化を理由に統廃合(行政は絶対言わないけど)したのに、また財政投入して活用するなど無駄と考えるのは行政側として普通だろう。財政が逼迫している状況では、できれば取り壊して土地を転売するほうが得策であり、取り壊しを選択する行政もあるが、それさえできない自治体もあり休校(廃校とも言えない)で塩漬け状態のところもある。
とは言うものの休廃校は地域の大切な資源だ。活用しなければ活性化のツールにならないし、コストのみ掛かる無用の長物となる。
廃校活用の課題で財源以外に課題となるのは運営者だ。過疎高齢化した地域では地域の担い手さえいない中で、自治に必要な活動をできる人がいなくなっていたり、若者一人ひとりに過重ないくつもの役が集中している現状もあるのは承知だが、残せ!と言う地域住民も自分たちでは運営できないと逃げてしまうのは如何なものか。
私は地域のシンボルで拠り所である学校が消えることで、地域が衰退していく姿を見てきた。
卒業生たちのノスタルジーや保存して欲しいという地域エゴでなく、地域の将来像(地域が生き残ること)を住民が考え、共有し、住民が行動することが大切だ。できない理由探しをするのではなく、自ら手を挙げ行動しなければ、地域の未来はない。(その2へ続く)