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地域再生のための観光とはなにか11~廃校活用(2)

地元企業の人材不足から事業継続・継承ができず、生産減あるいは黒字倒産という事態で、自治体の税収も悪化するという「負のループ」に入っている。

こうした状況下、廃校活用の設置主体が75%以上自治体となっており、いつまでも行政支援に頼るわけにはいかない。当然、様々な地域支援は行政職員や区役員だけでは、とても全て目配りできない。

廃校活用は多様だが、基本に据えるのは学校区コミュニティの再生だ。過疎化高齢化が進むなかで、福祉や防災を考えれば、廃校を拠点に地区まるごと家族になることが必要な時代になる。その活動環境を整えることが行政の役割だろう。

「子どもの声が消え、地区そのものが死んでしまったような感覚がした」と、命を削り取られたような「つぶやき」を聞いた。しかし、ただ嘆いてもいても未来は無い。

だから改めて集落点検を実施して全員で根本の問題を洗い出す。地区の有する資源を再発見することが求められる。廃校に至るまで学校区で様々な葛藤があったことは容易に想像できるが、次世代に「ふるさと」の暮らしを繋ぐため、責任を行政に丸投げしないで足掻いて欲しい。

廃校を拠点にできることは必ず有るはずだ。

参考として私も調査協力した廃校活用事例が『都市農山漁村交流活性化機構』の廃校活用ページに搭載されているのでご覧いただきたい。https://www.kouryu.or.jp/service/haiko.html

◇廃校を観光で活かす

廃校を観光の拠点として活用している地域は全国に多く存在する。観光で活用するには建物の外観も大切な要素で、ノスタルジーを感じる木造校舎は強みがある資源だ。しかし改修に多額の費用を要するデメリットもある。

鉄筋コンクリートの校舎はリニューアル次第で十分に観光需要に応えることができる。耐震工事をしなくても利用可能なRC構造であればリノベーション予算もあまり掛からないだろう。

ではどのようなタイプの観光施設とするか?

大がかりなリノベーションでは、千葉県鋸南町の道の駅「保田小学校」で、飲食やカフェを含むテナント店舗に直売所、温泉、宿泊とほぼ全部揃っている。運営はホテル経営などでノウハウがある共立メンテが指定管理として入っており地元主体で無い。休日ともなると元グラウンドの駐車場からあふれる盛況ぶりで安定経営をしているが、地元経済にどの程度貢献しているかは不明。

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地元主体で堅実な運営をしているのは、高知県本山町の「清流の里汗見川」で、宿泊と体験をメインとして不便な山の中で開設初年度から黒字経営をしている。何よりも地区住民全員で何らかの業務を担当し観光客を受け入れているところが良い。

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地域との連携で相乗効果を出しているのが、石川県能登町「春蘭の里」だ。教室を二分割した宿泊室が10部屋(和室8畳・バストイレ、自炊コンロ+冷蔵庫)あり、部屋はオーナーを募集し、空いている時は一般客に貸し出し、宿泊料はオーナーが受け取る画期的なシステムを採用している。

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さらにここに泊まることもできるが、学校区内の20戸を越える農家民宿の手配受入を行う事務局として機能しており、周辺民宿に観光客を誘導することで地区全体に経済効果を出している。

これは一部の活用例で、観光に資する取組が各地で行われている。いずれにしても地域の再生となり得る貴重な財産であり、多様な形での有効活用を模索していくことが重要だ。

この時、行政は教育関係のみの使用に限定されている『教育財産』から、多少は自由度のある『普通財産』に切り替える(議会の議決が必要)ことが求められる。また地元などに指定管理させるのであれば、施設設置条例の変更をしないといけない。特に困るのが施設利用の制限と料金だ。儲けなくて良い行政であれば関係ないが、モノを売れない、施設利用料が安価ほか民営化の足かせが多いままで、安易に指定管理しないことだ。自治体はここを忘れているのか議会提出が面倒くさいのか、あるいは議会が反対するからなど公にできない事情がある。

廃校にすると言うことは、様々に腹を括ること。そして活用するなら自由度をあげて手渡すことを強くお奨めする。

 

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