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自立分散型に昇華させる

近年の行政はサービス業の名の下に、住民自ら行うべき事柄まで手を伸ばし高コスト体質になってしまった。
住民も何でも言えばやってくれる行政に依存して、自分たちで考えることを止めてしまった。それが地方の不幸の始まりである。自分がやらなくても誰かがやってくれる、困れば金をもらえるという今様の考えは、「いちご白書をもう一度」という歌がヒットした頃からだろうか。
元々中山間地域で暮らす人たちは「仕事」を分担し、集落全体で支え合う仕組みを作り暮らしてきた。
現在の地域の課題を解決するには、一つ一つの集落が自立するための機能と役割を有し、互いに補完し合う関係が必要である。

組織は集落に由来するコミュニティだけでなく、共通の目的に向かうテーマコミュニティが存在する。
自治体はこの自立分散型組織である「ローカルコミュニティ」や「テーマコミュニティ」の個々の活動を活発化させることである。
しかし従来の行政指導型でコントロールするのではなく、行政区域全体から大局的な視野で支援することが望ましい。
最初に手を付けることは、地域に内包するニーズ(必要性)やウォンツ(欲求)を掘り起こすことだ。いずれの組織も、新たな価値の創造はコミュニティ内の関係性の中でしか生まれないことを心すべきである。
次がローカルコミュニティ同士やローカルとテーマコミュニティの連携融合を促し、地域内に「新たな知」を形成することだ。
その際には、ヨソ者という新しい血が必要となるだろう。
行政もしくは中間支援組織が、異なる領域や異業種の人材を集め、交流とマッチングの場を提供すると良い。
アドバイザーは新しい知を生み出していくための共創関係となることが望ましい。
結果として臨機応変で迅速な活動が図られ、他のコミュニティとも組織運営における有機的連携が図られるようになる
こうした学びと連携は、地縁組織が外に向かって開かなければ始まらない。
旧態依然の組織からヨソ者も地域に参画したり定住できる環境をつくることは、地域が未来に開いていくことなのだ。

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