我が町の財政状況などまったく知らないし、興味も無い住民が大半だろう。
しかし流石にここに来て、全国の都道府県や市町村の財政が危機的状況とするニュースが流れ、我がまちは大丈夫かと思っているかもしれない。
実は地方自治体は何度も財政悪化の死線を通り抜けている。
もう最近とは言えないが地方財政は90年代以降に悪化し、国はその手立てとして「平成の大合併」を奨めた。
だがその大合併は、合併特例債というアメにつられた合併でもあったため、後に次の財政悪化を招くことになる。
06年6月の北海道夕張市の財政破綻をきっかけに、財政破綻を早い段階で防止することを目的に、07年6月に地方公共団体財政健全化法が公布された。
にも係わらず、財政は悪化していく。
地方財政の規律はどうして甘くなったか?
大きな要因は社会保障関係費の増加であり、その手当として発行された行政改革対策債だ。
特に国の都合で増発した「臨時財政対策債」が、長らく地方財政を蝕んできたのである。
この赤字地方債は、国が地方への交付金などを削減する代わりに、その代替財源として地方債を発行させる仕組みであり、本来は国が手当しなければならないものだった。
ゆえに、その年度の財源不足は解消されるものの、借金であることに変わりはなく、償還(返済)は長期にわたって地方自治体が将来の負担をするはめになったためだ。
この起債の本来の目的は、名称の通り「行政改革対策債」で、自治体の行政改革を促すものであり、償還財源も後年度に地方交付税が措置されるものだった。
ところが自治体に構造改革を促すインセンティブを与えるどころか、実際には老朽施設の改修や新庁舎整備など“ハコモノ整備”に流用されるなど単なるインフラの延命を図る事業に転用されてしまった。
地方自治体も交付税措置(いわゆる保障される)されるため、借金という意識が希薄になり、都合の良いお金は、自律的な財政運営や健全化に向けた努力を忘れさせた。
つまり「改革を進めるための武器」は、「財政の多重債務の罠」に陥ったのである。
地方自治体は必ず財政状況を公表している。簡単なのは「公債比率」で、いわゆるまちの借金額を確認できる。
単純な率では判断しずらく、何%だからダメではないが、15%を越えているとしたら要注意。
もう一つは実質赤字比率が3%を越えていないかどうかが標準的な判断基準となる。
無関心だった自分のまちの財政にちょっとだけ関心を持とう。


