少子化、そして高齢化が地方の存続を脅かしている。
だが、人口減少の流れを一自治体だけで止めることはできない。これは日本社会全体の構造的問題であり、政府が責任をもって取り組むべき国家課題である。
かつて学校の統廃合は、地方自治体の首長にとって「パンドラの箱」だった。
平成の大合併の時代、合併協議会では「学校統合の話題には触れない」ことが暗黙の了解だった。
だが、合併から十数年。財政は悪化し、もはや背に腹は代えられない。自治体は公共施設の維持費削減に乗り出し、その中で小規模校の統廃合が進められた。
問題は、こうした再編計画を住民がどこまで理解しているかだ。
「お任せ民主主義」は国政だけの話ではない。
市町村でも「自分の子や孫に関係なければ関心がない」という住民が多い。
財政が逼迫するなか、廃校を取り壊し、土地を転売する方が自治体にとっては合理的に見えるかもしれない。
だが学校は、単なる教育施設ではない。
地域の拠り所であり、共同体の誇りの象徴であるからだ。
もちろん施設を残すにはコストがかかる。
だが「残すこと」を目的化すれば、税金の無駄遣いになりかねない。
大切なのは、地域の未来のために何のツールとして活かすのかという視点だ。
卒業生のノスタルジーや地域のエゴだけで保存を訴えるのではなく、行政と住民が共に「地域をどう生き残らせるか」を考え、行動に移すことが求められている。
できない理由を探すより、できる方法を探す。
廃校は失われた場所ではなく、再生の拠点になり得る。
「真によみがえる廃校」とは、建物の再利用ではなく、地域の誇りとつながりの再構築なのである。

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廃校は終わりではなく、もう一度地域が試される始まりでもある。
子どもたちの笑い声が消えたあと、その建物をどう生かすか?
それは地域の未来への問いでもある。
行政の枠を超え、住民や民間が手を携えたとき、かつての学び舎は新たな息を吹き返す。
次回は、全国各地で生まれつつある廃校活用の実践例を通じて、再生の条件と可能性を探りたい。

