宮崎県の口蹄疫問題で、篠原孝副農相は家畜が殺処分されたことで飼料用作物の栽培農家が農業者戸別所得補償制度の対象外にならないよう特例措置を検討する方針を示した。同制度では、飼料用作物は10アールあたり35,000円、飼料用米は10アールあたり80,000円交付されるが、課題は「販路確保」が条件。家畜の殺処分での飼料米作付け農家の売り先が消えたからだ。
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本制度はカロリーベース食料自給率を2020年度に50%とする目標を掲げ、そのために農家が安心して農業経営できる環境づくりを目指す素晴らしい制度であるが、しかしである。
過去の減反政策との違いはあるが、あくまで本制度は米産地の制度でしかない。ところが大規模米生産農家には猫の目行政に不安を持ち、6月末の申請締め切りというのに、制度の対象となるコメの販売農家180万戸の1/3にも満たない水準だというのだから、プロ農家は制度そのものに欠陥があると考えている結果といえよう。
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日本の食の根幹は「米」であり命を守るものであり国民が無関心では国が成り立たない。このことを国民が全体で理解して欲しい。農業はボランティアでやっているわけではなく、糧とする生活者がいる。現政権は、農家収入を安定させることで、「意欲あるすべての農業者が農業を継続できる環境を整備する」という考え方であり、農業を国の成長戦略や環境保全の一環としている。
しかし、島国である日本の農地は平地より中山間地が大半である。
日本の食糧自給率向上を考える上で、過疎高齢化しつつある山村の農地も非常に重要な生産土地であることを忘れてはいけない。
そして日本の農地を耕し、四季折々の多彩な食材を提供する担い手たちの高齢化も決して忘れてはいけない。国民の命を担う食を高齢者に支えさせている現状から目を背けてはならないのです。