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地域再生の切り札13-瓢箪から駒とか、ひょんなことから

 成功した、成果で出た。との話が出ることがある。
 だがそれは本当に偶然の賜だろうか?
 私は必ず成功の萌芽か、芽吹くために地下茎で力を蓄えていたと思う。
 ではなぜ、それまで成果が出なかったのか?
 この理由は簡単だ。
 それまでの企業や地域の経営層に先を見る、資源を見極める力が無かったことが大きい。
 さらに自らの目先利益だけで全体を統制していたり、ひたすらリスク回避したい考えの人が様々な魏業決定の権限を有していた場合もある。
 日本のトップ経営層界隈が変わらないと現状は落ち込むだけだ。
 ヨーゼフ・シューペンター(1883-1950)は、『経済発展の理論』で、イノベーションという活動の本質は、「新結合」であると述べている。
 新結合は既存のモノやコトの力を新たな方向から結合し直すとの考えだろう。
 ゆえに特別、新たなものを地域に持ち込む必要はないわけだ。
 むしろ自分たちが有している様々な資源を棚卸しし、再結合させることで「瓢箪から駒」が発生すると考える。
 ただしイノベーションは、たやすく成せるものではなく、再生産できる持続性はない。
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 日本は古来より八百万の神が同居し、後に仏教が伝来しても飲み込み、咀嚼して日本流に再構築した。
 キリスト教やイスラム教のような絶対単独神を含め、上陸したあらゆる宗教を取り込んできた。
 日本人は無宗教ではなく多神教の国なのだ。
 この日本特有のシンクレティズム(混ざり合う)が、ガラパゴスな日本文化や暮らしを練り上げてきた。
 最近の自動車のIT化は、まさにシンクレティズムの例だろう。
 大海を漂うシアノバクテリアのゲノムは小さく、多様な栄養素や代謝物を十分に調達できない。そのため、融通し合える生き物であれば、まったく異種の生物と相互依存のコミュニティクを築くという。
 これを地域に置き換えてみれば良い。
 まずは一人ひとりが隣人を理解する。そして自分の考えを伝え仲間を作ろう。
 そんな一つ一つの集落や地域が、それぞれ自立するために機能と役割を互いに補完し合う。
 組織は集落に由来するコミュニティだけでなく、共通の目的に向かうテーマコミュニティが存在する。
 ローカルコミュニティ同士やローカルとテーマコミュニティの連携融合を促し、地域内の風土が持つ力(エネルギー)を活かす仕組みを形成する。
 その際には「ヨソ者」という新しい血が必要となるかもしれない。
 ただし、いずれの組織も新たな価値の創造は、コミュニティ内の関係性の中でしか生まれないことを心すべきである。
 こうした連携は、地縁組織が外に向かって開かなければ始まらない。
 旧態依然の組織からヨソ者も地域に参画できる環境こそ、地域が未来に開いていく足がかりとなる。
 今日だけのハッピーは瞬間的だ。
 明日のハッピー、未来のハッピーを得るために、包摂的な地域の変革を促し、新たな価値を創造しよう。

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