ガザは停戦合意がなされた。
ウクライナはまだ明日が見えない。
なぜ人間は殺し合うのか?
■野生のボノボは争いのない社会を構築している
野生のボノボは一見チンパンジーと似ているが、好戦的なチンパンジーとは対照的に、極めて穏やかで、争いの少ない雌中心の平和な社会を築いている。
メス中心社会で長い世代を築いてきたをボノボは常に優しいパートナーを見つけ世代交代を繰り返してきた結果である。
特に食べ物を「もらう・あげる」という分配の行動がみられ、見知らぬボノボにも食物を分け与える。食物を通して相手との関係をつくるわけだ。
主導権を握るチンパンジーのオスは、テストステロン値が高くて喧嘩が多いそうだが、ボノボのオスはテストステロン値が低く、逆にコルチゾールというストレスホルモンが増加するという。
一般的にコルチゾールの増加による高血圧や心血管疾患のリスクが語られるが、生命には欠かせないホルモンだ。
ホモサピエンスが地球上のトップに君臨し繁栄できたのは、自分の考えを相手に伝えられ、赤の他人とすら協力し合う「自己家畜化」が要因だという。ボノボと同様に協調的で従順な行動を進化させたことが安定した社会構造を強化し、社交的な行動を促進し人類を生物の頂点に押し上げた。
1968年7月から『Universe25』というマウス実験では、4匹のマウスを生存環境が良い場所で観察したところネズミの増加は、実験開始から350日目に鈍化。強いオスは他のネズミを攻撃し縄張りを拡げ、弱いネズミは狭いエリアに押し込めた。そして非活動的になり繁殖行為に興味を示さず受胎の減少や胎児死亡率の増加といった現象が起こるようになった。
実験開始から560日目には増加はストップ。メスは早期に育児放棄、オスはメスにアプローチせず妊娠率は大幅に低下、1780日に絶滅した。25回に渡り同様の実験を行ったが結果はまったく同じだったという。
日本を含む先進国の人口減少や少子化問題、貧富、差別、さらには全世界で他国や他者を攻撃する人間が増加している。
『Universe25』実験と同じ現象が今、人間界に起きており、増えすぎた人類はオフピークを迎え、絶滅に向かって歩み出しており人類の行く末を暗示している。
顧みて日本国内はどうだろう。
明らかに人口ピークを迎え、少子・高齢化社会に突入している。
特に地方の人口減少は労働力確保や経済成長と直結し、労働力人口の減少は地域経済の維持発展を阻害すると言いながら、首都圏へ人の一極集中する流れを止める術がない。
世界でも最も課題先進地である日本の田舎。担い手不足で危機的状況ある共同体の再構築は喫緊の課題だ。自治体DXを完成しても住民がいなくなれば無駄である。
人口減少をも逆手に捉え、地域再生に繋がる様々な課題解決にDXを活用したいところだ。
自治体による課題解決型DXのノウハウは、民間に伝播して新たなビジネスの創発や雇用拡大など地域活性化に資するはずだ。