2020年2月28日、安部首相が側近の反対を押し切り「全国の小中高校を3月2日から春休みまで臨時休校」を要請した。
唐突な要請に全国の自治体は困惑と混乱をきたしたが、一部反対の動きがあったものの都道府県も市町村も概ね従って来週から休校となる模様だ。1月から中国人観光客の入国制限をしていれば、そしてPCR検査体制を整えていれば、市中感染もここまで切羽詰まらず日本のアウトブレイクという最悪のシナリオにならなかっただろう。
この要請で庶民生活がどのような事態になるのか。都市部で働く人や企業活動の報道は多い。しかし学校休校は全国の農林漁業者の経済にモロに影響する。牛乳を一例とすれば学校給食で牛乳生産量のほぼ1割を消費している。当然、野菜や肉魚の消費だって大変な量となる。
さて今回の要請で長野県も国の考え方をほぼ丸呑みした内容で県内の教育委員会に通知した。
この動きをみて戦争前夜の出来事のひとつを思い出した。
それは満蒙開拓と青少年義勇軍のことだ。
昭和12年1月、国策の一つとして閣議決定に基づき、昭和13年1月に設立された「満蒙開拓青少年義勇軍」は、満洲国建設の一翼を担う平和部隊として青少年義勇軍を訓練送出することが国策として決定され、昭和20年迄に総数86,530名の15~16才の青少年が満州へ送出された。満州国の兵士予備軍で送り込まれたが、戦況が悪化すると対ソ連の国境守備の中心となっていった。中でも全国でもっとも大人数の6595人の若者を送り込んだのは長野県であった。
「満州国」建国宣言の直後から、もっとも積極的に推進主導したのは「信濃教育会」だ。
教育現場が「皇国民」「五族協和」を唱え、反対者を徹底的に弾圧しながら、若者を義勇軍として送り出して行ったのだ。
信濃教育会は今もこのことを反省していないばかりか、またもや国の言うことを受け入れた。
教育現場は都道府県や市町村に権限がある。ところが今回の「首相要請」に対して、唯々諾々と従うのは教育権限を国に上納したかに見える。
緊急事態は分かるが、論議の無いまま無策のままで首相の暴走に従うことに違和感がある。
コロナ対策では「国益」を守るためか目先の対処だけで国のビジョンが明確に見えてこない。しかし確実に国民へのしわ寄せだけは発生している。
満蒙開拓記念館https://www.manmoukinenkan.com/