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地域再生のための観光とはなにか5~観光は人に依拠する◇地域ポテンシャルを高める

◇観光は「人」に依拠する風土産業

4で記述したように、その地の風土は、自然、文化、歴史、産業、暮らし、住む人によって形作られる。観光はそれらを大局から俯瞰しつつ、観光素材となり得るものを再発見し、ストーリー化をしていく。中でも大切なのは『人』だ。「変なホテル」のように全面にロボットを使用していても話題作りのパフォーマンスで演出の一つに過ぎない。実際はバックに従業員が控えコントロールしており、AIに取って代わられるのはまだまだ先だ。

“人対人”のコミュニケーションを観光の基底として、コミュニケーション重視の観光設計が重要となる。顧客にコミュニケーションを売ることができれば完成形だ。

子どもが農泊した、別れで涙する光景を何度も目にしているが、体験による感動もさることながら、ホストファミリーとの深い関係ができたからの涙だ。そしてその子らはリピーターとして長く続く関係人口となる。

例えば大都市のデパートなどで、産地は違うが同じモノで同じ値段だとしたら、経験から関係している産地の商品に必ず目を向け、手に取るだろう。そのとき一緒に並んでいた他地域のモノは最初からなかったものとなる。

旅はその地に行き消費しただけでは終わらない。口や鼻、耳が感動を覚えており、産地の大根一つ見ただけでも味や匂い、廻りの景色がよみがえり、その先にホストファミリーの笑顔がよみがえる。そして「また○○に行きたいなあ」という旅の動機ができあがる。

ゆえに、この人ともう一度会いたいと感じさせることができるかどうかが、とても大切なのだ。

究極の旅は「あなたに会いたい!」である。

「あなた」という存在は世界にたった一人。あなたに会いたいとなれば余所へは行けない。つまりこれが唯一無二のツーリズムである。

だから今、頑張るのは、受入れる観光関係業界のスタッフだけでなく、地域丸ごとで「おもてなし」をする住民でなければならない。会いたい人の数が多ければ吸引力は否が応でも増してくるからだ。

つい最近、熊野市で出会ったガイドの方、追いかけてきてパンフレットを手渡ししてくれた伊勢のばあちゃん。路に迷っていたらわざわざ車を止めて案内してくれたタクシードライバー。各地で度々出会う素敵な方々(自分は儲からないのに)にまた会いたいと思う。

人間が人間である限り、人は人とのつながりを求めている。地域の最後の切り札は

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「人」だということを忘れないようにしよう。

◇地域のポテンシャルを高める

「道の駅」を観光拠点とする整備も各地で進められているが、客の導線を無視した設計やマーケティングをしたとも思えない施設と品揃え、過度・華美な施設投資により赤字体質になっている施設も少なくない。

拠点整備がまさに『点』の整備となっており、その裏にある素材を活かし切れていないのだ。これからは点から面とする資源の連携が不可欠となる。

もともと道の駅の目的は、道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供と地域振興であるが、人口減少が著しい地方では複合的な拠点機能が求められるようになった。特に昨今の未曾有の災害に対する高度な防災機能や広域合併や高齢化に対応して役所の窓口から診療所、地域福祉、地元住民の足の結束点、買い物難民対策ほか様々な住民サービスを提供することが大切になっているのだ。まさに道の駅が「まちのホッとステーション」になりつつあると言える。今後もこれらに加え、地域の仕事づくり、住民の寄り添う場など地域ハブとしての複合型拠点への変化が求められる。

私は2005年頃より地域力のアップが必要だと論じてきた。

地域力と規定するものとして、地域基盤(人口および人口を賄える食料資源+暮らしていける経済と雇用×地域戦略(行政戦略・意欲+投資意欲+住民意欲)とした。これを基に地域づくりを行う。地域づくりとビジネスは表裏一体だと論じてきた考えの根底にあるものだ。

このバランスが整っていれば、必ず人材還流が起きる。また内外の資本の投資意欲を喚起するに違いないと思っていた。

今年、その考え方が間違っていなかったと思えるニュースを知った。

それは『消滅可能性都市』の17番目にランクインする京都府の外れの山間部に位置する南山城村が、2017年に新設した「お茶の京都みなみやましろ村」の動きだ。この施設ができて村の観光客が3倍以上増えて約87万人となったのだ。道の駅に行くとまず若いスタッフが多いことに気がつく。村に大きな雇用の場ができたことで若者が村に定着しつつあるのだ。

道の駅をモノ・コト・ヒトのプラットフォームとして、村の産業・観光振興を進め、働く場所づくりや移住定住といった波及効果を生み出し、さらに村人の生活に役立つ場とするということを明確で簡潔に指し示し、「村」そのもののブランド化を図る南山城村。その道の駅の隣にホテル建設という朗報が入ったのです。まさに地域力の向上が外部の投資意欲を喚起した好事例だ。

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