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瑞穂の国は崩壊している

バーチャルウォーター(仮想水)は2000年頃から出てきた言葉だったような気がする。

バーチャルウォーターとは、アンソニー・アラン氏(ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授)が初めて提唱した概念で、食料や木材の輸入を、間接的な水の輸入と捉えたものだ。

2000年当時、日本の食糧自給率40%で食料輸入だけで1年間に、1,035億トンの仮想水を輸入していると推定された。さらに約40カ国からミネラルウォーターや木材、工業製品を輸入することで、間接的に大量の水を輸入していた。

例えば200gのステーキを食すためには3,200㍑のかんがい用水(飼料)が必要だ。

9月下旬の日米首脳会談後、2国間の関税撤廃・削減を目指す「物品貿易協定」(TAG)交渉を開始すると発表した。

TAG開始の前提として日本政府は、水の貿易不均衡を全面に出してはどうだろうか?

日本は、世界有数の豊かな自然がありながら世界一の水の輸入大国だ。

人間が利用可能な水は全体の1%にも満たないというが、日本は食料などを通して世界中(特に後進国)から直接に食料を搾取し、間接的に水を搾取しているともいえる。

日本の飲料水の無駄使いの極致はトイレだ。

人間は生命の維持のために1日あたり約30㍑弱の水が必要だが、日本人は1回のトイレで約10リットルの水を流している。生活用水全部で一日約2000㍑を消費するのが日本人であり、その生活が当たり前に思っており、災害で不自由になって初めてありがたいと気がつく。

今年は異常気象で、各地に未曾有の災害をもたらした。被災した地域の早急な復興と一日も早く皆様が通常生活に復帰できることを祈念している。

さて日本は通常年の総降雨量6千億㎥、翻ってバーチャルウォーターは年間600万㎥以上で、約10%を占めている。人口増加がピークとなる2025年に世界の1/3で水不足が起き、2050年には地球全体での水不足となる可能性があるというデータも存在する。

最近では、バーチャルウォーターという言葉が政治やメディアで語られなくなったが、食糧自給率はさらに下降し、ミネラルウォーター、ワインなど増加の一方だ。

食料も水もエネルギーも輸入に頼る日本は、金さえ払えば今後も食べ物は世界から潤沢に食卓に届けられるか。日本は人口減という良い意味で成熟期、悪く言えば衰退期に入った。

にも係わらず平和ボケで脳天気な国民(反論有ればぜひメッセージを)は、今日の食料、今日の水しか見ておらず、未来の食卓、未来の暮らしを想像していない。

人口のピークを迎える中国が、完全な農産物輸入大国となれば、今の鉄鋼や石油と同様に大きく流れが変わる。かつて円で頬を叩いて買い占めてきた日本同様に、元が幅を効かせ農産物の占有に走るかもしれない。

戦後の飢えの時代は、今、目の前に迫っている。再び訪れる前に国内の水、農産物についてもっと考えて欲しい。持続社会の実現は地方で生産する食料の自給率アップは絶対に欠かせないことを肝に銘じよう。

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