一覧たび談

年頭雑感2:「感動」や「共感」、「学び」を共有する

旅の巨人、宮本常一は「旅と観光」の中で

食料も十分持って歩けない場合には誰かにもらって食いつなぎながら歩くほかはなかったと思う。飯を食うこともタベルという。恐らく「賜る」の訛ったものであろう。

そういうように食物を賜りつつ歩くことが旅であったと思われる。

地方には旅人の来るのを待っている気風があり、それが自分たちに何らかの利益をもたらすと見れば、心から歓迎して旅人の持つ知識、技能を吸収したのである。

現在で言えば都市と地方、地方と地方の情報交換手段だが、同時に人間関係も生まれ、何年も滞在したり定住した。そうした人がいたことで地方文化はしだいに高まっていった。

地域おこし協力隊は、現在の旅人であり伝道師である。ところが元々閉鎖的で外からの移住者を拒む傾向があった地方では、住民の中に「来たり者」を排除する力が働く。その排除したい者たちは我が子を都市に送り出すことが世の中の成功者と考えており、田舎に来る者は「できない駄目な人間」と可笑しなレッテルを貼る。

広い世界を見ていない人にそうした傾向が強く、小さなコミュニティのボスで君臨しているやに想える。そのボスからすれば「流れ者」は、守り続けたコミュニティを壊す存在としか見られない。だから新たなことを始めると嫌悪するのだ。 

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