一覧たび談

地域金融と行政・民間の連携による地域活性化2

■秋田県の地方銀行が動く
 秋田県には秋田銀行と北都銀行という二つの地方銀行が存在する。その一つで約32%のシェアを持つ北都銀行は、羽後銀行と秋田あけぼの銀行が1993年に合併して誕生した。合併当初は県筆頭の秋田銀行を上回る店舗数をフル活用しリテールバンクに徹し業績を向上させたが、長引く不況やリーマンショックによる混乱で赤字に転落。その後、山形県の荘内銀行と持ち株会社を設立し、公的資金注入を受け業務改善をしつつ現在に至っている。
 秋田県は公共投資などへの依存度が全国と比較して高く、リーディング産業は農林漁業から精密などの製造業へ展開が図られたものの産業基盤は脆弱で、不況下での雇用も悪化したことが、大衆銀行ゆえの背景から業績悪化に繋がったとみるべきだろう。
この悪循環を断ち切るため同行では攻めの戦略を展開。秋田県内の自治体や企業、ノースアジア大、東アジアの関係機関など様々なステークホルダーとの連携協定を締結しながら観光産業や農産物輸出、中小企業の再生・活性化など産業全般の活性化に努めている。
2012年10月には新規プロジェクトとして、県内で生産される様々な農作物素材を発掘、販売チャネル開拓、加工等の6次産業化事業、新規就農者の確保・育成、企業の農業参入の支援を通じて、農業を秋田の大きな成長産業に転換し、県内各地で地域経済の活性化と雇用創出を目指して、県内外の出資を募り(株)あきた食彩プロデュースを立ち上げ、同行の役員を送り込み主体的な経営体制を創った。
同社は事業開始から間もないが、秋田県が力を入れている枝豆をスイーツ加工した「青豆のドルチェ」を開発・販売をしたところ、現在生産が追いつかない人気商品となり、早速に成果を出し始めるなど「食・農・観」のトライアングルを創り上げ、アジア各国への農産物輸出、インバウンドまで幅広い分野をプロデュースしており、今後の動向は注視すべきだろう。

■地域の観光振興に信金が一役
前述した地銀の事例と規模は違うが、内製化する信金が多いなかで東日本大震災以降、東北エリアの信金では全国信金ネットワークを活用した観光客の招致を図る動きが顕著となっている。以前から年金友の会員などを対象にして、我が地へ観光に来てもらおうとする小規模な動きはあったが、本格的な観光客招致に走り始めたのである。
東京外縁の神奈川や埼玉などの信金や他地域の一部信金においても、自らの地域の観光振興に積極的に関わり始めている。しかも本来業務ではありえなかった営業エリアにこだわらない動きが見られるのである。
岐阜県高山市にある高山信金は金融機関らしいユニークな取り組みで観光振興に貢献している。飛騨地域の観光客増加に応じて預金金利が上がる定期預金「みんな観光大使」という商品で、観光客が100万人増加するごとに金利が0.02%刻みで上がる。これは市民を観光の宣伝に活用する「観光まちづくり」戦略と言っても良いだろう。
住民生活は住民個々の心身、コミュニティ、経済という3つの健康が揃うことが重要である。かつて地方には蚕という大産業があり、この産業から生ずる利益を地域で所得分配していた。しかし現在は主として中央の本部が所得を握り、都会で分配され地方には流れないために地方の疲弊が始まった。その所得分配を地方が取り戻す手法として、現在多彩な展開をする観光ツーリズムが最も有効であることに気づき始めたと推察する。

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