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改めて地域再生を考える12-子育て・教育を考える

出生率0という地方自治体が出てきました。
東京都のように財政が豊かな自治体は、多様な子育て、教育の手当ができるため、バキュームのように人を集めています。一方で、少子化や小母化、高齢化が進む地方は社会も経済も縮小し、要介護地域が増加しています。
 2025年国勢調査によれば、中国地方5県の総人口は、埼玉県(729万人)より少ない状況です。国内全体の人口減問題(問題ではないとする識者もいる)は、市町村どころか県レベルでも解決できない課題であることは明らかです。
 子供を産むという環境を地域で、どう創るか、生まれた子どもたちを地域でどのように育んでいくかも大切です。その子育てのメインは幼保育園や学校ですが、大切なのは「おせっかい」なおばちゃんも含め、自治会という共同体が健全であることが重要です。

■廃園・廃校が地域を衰退させる
 日本の小中学校数は、第二次ベビーブーム世代(いわゆる団塊ジュニア)が卒業した昭和50年代後半から減少に転じ、「平成の大合併」(2000年代)を機に統廃合が加速しました。昭和55年(1980)に小中学校は35,737校で、児童生徒数は過去最多。全国のどこにでも「地域の学校」が存在していました。
 それが転換したのは「平成の大合併」です。市町村合併に伴い、周辺部の小規模校の統廃合が急速に進みました。因みに議員数は中々減らなかったという黒歴史が同時に存在しました。
 毎年400校を越える閉校で、平成末期には小学校数がついに2万校を割り、過疎地以外でも統廃合が日常化していきました。令和6年では平成元年(1989)と比較し、約7,600校(21.7%減)の学校が消滅という事態になっています。
 まちむら交流機構と共に廃校活用調査を始めて、10数年が経過しましたが、調査当初と比べ、昨今の活用方法は千差万別で、地域で様々な取組が熱心に行われています。
 残念ながら本年3月末に調査してきた「廃校活用サイト」は諸般の事情により閉鎖となり現在は閲覧できませんが、2000校を越える活用事例は一つ一つ現場に伺い、直接話を聞いたり、意見交換、場合によれば悩み相談まで行ってきました。
行政の課題は未利用施設をどうするかが一番の課題で、全国の現存廃校の約20%が用途未定のまま塩漬け状態にあることでした。未利用校舎でも維持費は発生し、自治体財政を圧迫しているものの、転売もできず高額な除却費も捻出できない事で頭を痛めているわけです。現在の活用率(約75%)が維持されたとしても、毎年100校以上の未利用廃校が積み上がる計算となります。
■PTAが解散するとどうなるか
人口減少が顕著な農山村では、学校が消えることはPTAが消え、子ども会が消え、地域活動の拠点がなくなることがイコールです。そしてそれは後々、地域の大切な社会活動に影響を与えます。
ところが現在、学校が存在しながらPTAへの未加入とか役員のなり手不足を背景に、解散するところが相次いでいます。長野県PTA連合会の調査によれば、2021年度以降5年間で解散したPTAは少なくとも長野市、松本市、安曇野市、木曽郡王滝村の4市村にある計13校の11団体に上るそうで、この動きは全国でも同様のケースが増加しているのです。
PTAの解散後に登録制のボランティア組織を立ち上げ、保護者による学校への関わりを再構築しようとする動きもあり、埼玉県や岡山県では県PTA連合会すら解散するに至っています。その要因は、夫は会社で専業主婦という昭和のPTAモデルが放火したことが大きいですが、少子化する地方では、行事が昔のままで役員の負担が増していることが原因です。
 PTAが誕生した戦後は教室整備や備品購入、教育への要望が重要な任務でした。また本来任意団体でありながら、我が子が学校に入れば、PTAは加入するものとの認識がありました。もちろん当時から役員の押し付けはありましたが、子どもが世話になっていることから引き受けたこともあります。
 ところが現在は、学校運営協議会なるものが存在し、PTAはイベント動員ばかりという運営も多く、「PTAでなければできないこと」が見えにくくなり、若い世代ほど違和感を持つようになっています。
PTAの消滅は都市部ではあまり問題視されませんが、農山村ではかなり大きな打撃になります。今でも田舎では運動会に夏祭り、資源回収、通学路整備ほか様々な行事でPTAが主体で頑張っており、地域と学校の関係が密接だったのです。
 私も経験しましたが、PTAは自治会活動の「子ども会」とイコールで、「地域デビューの入口」でもあります。つまりPTAがなくなると、若い親が自治会に接続されなくなるのです。そしてPTAが消えれば、自治会と学校の接点が希薄になるのです。
 だいたいPTA役員から消防団、そして自治会役員、さらに議員が出世ルートかもしれません(笑)
 過疎地はもっと悲惨です。先に学校が消えるため、当然PTAは消滅します。そうなると地域の祭りほか、今まであった行事もセットで霧散するのです。
 子ども会の衰退はPTAより衰退しています。全国子ども会連合会の会員数は、1980年代には800万人超でしたが、近年は200万人台まで減少し、40年で約4分の1となっています。
ご理解いただけるように、PTAと自治会の課題は同根であり、PTAや自治会加入率低下と連動しているのです。廃校問題も単なる施設問題ではなく、その本質は地域共同体の縮退・喪失問題と重なっている組織疲労と言えるでしょう。
PTAや子ども会の衰退は、単なる教育問題ではなく「共同体の継承装置が失われている」と捉えることが今後、重要となります。
親や住民が「子どもは地域全体の財産である」
つまりPTAも子ども会も本来は「総有組織」という前提で支えてきたことが分かります。そのボランティアに行政は甘えてきた結果でもあり、これからは「子どもを地域全体で育てる新しい総有の仕組み」を再設計することです。

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