一覧たび談

農山村を守ることが国民を守る

■自然環境を守るとは
近年は日本のどこかで甚大な災害が起きている。だが地域のレリジエンスは素晴らしく、再び同じ地に暮らすため、復興の槌音を響かせてきた。
災害が起って損害を受けるのは人である。そのためひたすら自然に闘いを挑み、抑え込もうとしているのだ。
特に昨今の土木は自然環境を破壊しているとしか見えず、災害に勝つため更なるハード事業を上乗せし山や河川、海からの被害を防ごうとしている。
だがこれは自然環境を守ることと、全く関係が無いことだ。
自然環境とは地球上に存在する全ての生き物が存在できる環境である。もちろん人類の敵であるコロナのようなウイルスも地球号の乗組員だ。
地球上は多種多様な生態系が存在し、地球全体のエコシステムを形成している。しかし人間のエゴで、年間4万種が絶滅しており、この事実を見逃してはならない。
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人間は自らの自然環境を人間の都合の良い方向に変化させてきた。その時々で自然の定義を変えてきたとも言える。
だが20世紀の工業の目覚ましい発展は、自然界のレジリエンスの限度を超えたため、自然環境の危機が顕著となった。人間により自然界が征服されたかと思えた世紀から一転し、近年は自然の強烈なしっぺ返しに人類は右往左往している。
この地球上の生物で唯一(私が知る限り)、人間だけ生まれた瞬間に泣く。
何故だろう?こんな世界に生まれたくなかったと泣くのか?それともこの素晴らしい世界に生まれた感動に泣くのだろうか?

■ユネスコのエゴ
 国連で統一的な見解を出している自然環境の概念だが、個人や組織、あるいは世界各国の都合で違う。
 例えば世界自然遺産「知床」に対して、ユネスコの「人工的なものを排除し、自然そのものの姿を後世に残すこと」を体現する自然保護の権威ピートランド博士が送り込まれ、その調査報告で指摘した、ルシャ川を横断する道路や橋、砂防ダムの撤去を勧告してきた。
 日本の自然のほぼ全ては、人の手が入っており全く手つかずの自然など存在しない。太古の時代から自然と共生してきた日本人の感覚からすると、この極端な人工物の排除とかヒグマやトドと人間の関係性などを否定されては埒があかない。
 いわゆる白人文明が正義でありアジアの片隅の黄色人種の考えは間違っているから是正しないといけないと思っているのだろうか。
 ずいぶん前にNHKスペシャルで「ヒグマと老漁師~世界遺産・知床を生きる~」という放送を見た。何と老漁師は“ヒグマを叱る”のである。
欧米人がスポーツハンティングと称して、趣味で動物たちを殺害することは問題なく、日本の食料や文化として大切な鯨の捕獲は残酷だと規制する。おかげで日本人が食べる小型の魚が激減するという悪影響が出ている。
前述したように日本は古代から自然の森羅万象に畏怖し、自然と共生しながら、時々の糧を得てきた。この古来からの価値や知恵、暮らしを無視したところに持続性は無い。
すべてが自分たちの価値観が正しい文明として、他者に押しつけ大局的な視点が欠けているユネスコにおもねるのではなく、この際、多額の負担金を強いられるユネスコからの脱退を考えても良いのではなかろうか。

■経済の進歩発展のみで住んでいる環境を汚染している
人類の存続は自然環境を無視して考えることはできない。もちろん自然を征服するなどできるわけでもない。むしろ地球環境は人類がいなければ生き物のパラダイスになるだろう。
自然環境は人間が存在しないでも日常を淡々と刻むことができるが、昨今の異常気象による豪雨と日照り、異常高温で人が死ぬように人間に都合の“良い”自然環境がないと生活ができない。
都合の良い自然改変は何をもたらしたか?
今、オゾン層破壊に始まり、二酸化炭素の増加による温暖化で陸も海も気候変動に翻弄されている。二酸化炭素を吸収する森林は伐採による破壊や火災で失われつつある。このままでは地球の火星化が起きてしまう状況だ。
食糧と水の問題は世界でもっとも深刻な問題になっている。
世界では35億人を越える人たちが、身の周りの自然と共生、食物を確保している。日本は森林が多く幸いに水だけは豊富にあるが、食糧は多くを諸外国に依存している。

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農地も耕さなければ荒れ、再度生産するためには普段の維持管理と比べ、倍以上の労力を有する。山林や河川、海も適切な管理がなされないと荒れ果ててしまう。
せっかく先祖が開墾してきた田畑が、耕作をしないことで自らの住んでいる環境を汚染しているとも言えるわけだ。
日本の環境、防衛政策の根幹は農林水産業の保全発展だ。
島国の弱点はシーレーンを封鎖されること。封鎖されれば日本は無条件降伏の選択肢しかない。もちろんいきなりの封鎖で無くても、ロシアのサハリン2のやり方でジワジワ首を締め付けられることもある。
2023年度の概算要求で防衛費は実質天井知らず。一部をぜひ、食糧安全保障に活用願いたい。
まずは食糧自給率の向上に向けて、国内隅々の農山村を保全するために農林水産省は防衛省や環境省と連携しながらイニシアチブを取って欲しい。

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