源氏物語 巻42匂宮に「老いを忘るる菊に、おとろへゆく藤袴、ものげなき吾亦紅・・・」と香一回だけ登場する花だ。紫式部が見たであろうワレモコウは、「ものげなき吾亦紅」と書いているように地味な赤い花(花に見えないかも)で、古来より本州の野山に普通に咲いていた。
線香の原料である木香と似た香りがあることから「わが国の木香」として「吾木香」と表記され、件の源氏物語で匂宮が香りあるものを愛でているとしているが、はっきり言って香りはない。
国内では7種のワレモコウがあり、そのうちの2種が絶滅危惧IB類(2012年環境省レッドリスト)として登録されている。
まだ本州のワレモコウは絶滅危惧種になってはいないが、全国各地で野山が削られソーラーパネルが設置されるようになり、徐々に生息域が侵されるようになった。
環境政策のエネルギー確保の本丸が、自然環境を破壊する先鋒になっているのだ。
そのうちに源氏物語で出てくる吾亦紅ってなに?になるかもしれない。
マッチを擦れば おろしが吹いて
線香がやけに つきにくい さらさら揺れる吾亦紅
・・・
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり逢いに来た
ただ あなたに謝りたくて
すぎもとまさとのヒット曲「吾亦紅」だが、国民も吾亦紅に謝るのは絶滅してからだろうか。