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「親ガチャ」は地域や貧富の格差?

近頃、若者の間でトレンドワードとなっている「親ガチャ」をご存じだろうか。
「実用日本語表現辞典」によると「親ガチャ」とは、『子どもの立場から「親は自分では選べない」「どういう境遇に生まれるかは全くの運任せ」と述べる表現で、ソーシャルゲームにありがちなキャラクター入手方法(いわゆるガチャ)になぞらえた言い方。親ガチャとは逆に、親の立場から「どんな子が生まれてくるかは任意で選択できない」状況を表現する言い方を、「子ガチャ」と表現する場合がある』と説明している。
うちの親は「ハズレ」とか「アタリ」と言っているが、規準となるものは存在しない。
しかしハッキリしているのは教育費の掛け方だ。
残念なことに高等教育が受けられるまでの環境は、東京とその他の地方では大きな格差がある。
そして更に都市部でも貧富で、家計費の中で子どもの教育費に掛けられる額が違ってくる。
都市と地方の教育環境の格差が顕れている「地域ガチャ」かも知れない。

フランスの社会学者ピエール・ブルデューが、1973年に提唱した「文化資本」では、「資本として機能するものの中で、蓄積することで所有者に権力や社会的地位を与える文化的教養に類するもの」と定義。簡単に言えば、金銭によるもの以外の学歴や文化的素養などの個人的資産を指しているものだ。

教育は単なる消費ではなく、個人の将来に利得をもたらす文化資本であり、その後の経済的基礎になるものだ。つまり「教育という武器」は身に付けられる文化資本であり経済資本で変わるということだ。
かつては二宮尊徳のように、貧困でも頑張って働き、学びを深めることで、いわゆる立身出世とか、ふるさとに錦を飾ることができた。
しかし現在は、親やそれ以前の世代の経済的蓄積が、高等教育の差に繋がり、そのまま経済資本の蓄積に大きな影響を与えている。
「親ガチャアタリ」と周りで見られる上級階層。先祖から受け継ぐ遺産相続や贈与などで潤沢な家庭は、
様々な面で有利な環境に置かれ、本人達の意識も庶民とかけ離れいる。そしてその中から世襲の社長や議員、キャリアの国家公務員が輩出され、日本の舵取りとなっている。

教育の格差が身分格差になる日本の現状。庶民は給与を押し下げられ「働けど働けど我が暮らし楽にならざし」で、との収入格差は拡大するばかりだ。
これを変えるのは「親ガチャ」で嘆いているだけで、現状をおとなしく受け入れ行動しない若者に託すしかないのだが・・・。

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