観光は今回のたくさんの悲劇を未来の夢に変えることが使命だ。
世界が通常に戻るまで、まだ相当な時間が掛かる。日本の観光再生でインバウンドだけに偏った観光は当面、当てにはならない。
今はとにかく、地域が元々有している地域特性や知恵の「おすそわけ」をするコト観光のコンテンツを開発することだ。
地域の人との交流や、その地域ならではの歴史や風習、独自の食材・調理法・マナーなど、自然・文化・生活をプログラムすることは、どこの地域でもできるだろう。
そのために旅人と暮らす人が、何か『幸せなコト』を共有できる観光が大切であり、次のようなコト観光を想定願いたい。
①先人達が守り育んできた自然環境や恵まれた自然の持つ豊かさを知ってもらう
②地域の暮らしや生業(なりわい)を経験してもらう
③地域の誇りと生きざまに接する「ほんもの」を提供する
④観光資源の規模、性格(性質)に合わせ、身の丈でホストとゲストが対等な立場で付き合える
⑦地域住民が担い手となり、経済効果が地元に還元される
⑧モノの豊かさではなく心の豊かさを訪問者が実感できる
⑨ここで暮らしたいと思えるような「もの」や「こと」を提供する
これは今様に言い替えればローカリゼーションの旅であり、根幹となるものは地域環境・エネルギー・食糧・教育・福祉など暮らしそのものだ。そのため企画段階から実施に至る過程に、地縁集団を中心にして地域間・行政間・異業種連携はもとより、NPOや地域づくり団体、さらに人と人の「つながり」を生み出す力が不可欠となる。
自粛生活を強いられて、かなりのストレスが溜まっている方々に旅の同義付けとなれば幸いだ。
緊急事態宣言が出され、体力の弱い観光業の倒産が始まっている。帝国データバンクの調査(20年5月22日現在)では、旅館ホテル35件、飲食業21件と倒産が増加している。
政府は緊急経済対策で、観光、運輸、飲食業、イベントなどに関して「Go Toキャンペーン(仮称)」で1兆6794億円を計上した。コロナ蔓延期に収束後の経済対策を出したことで、大きな批判を浴びた。業界も1兆円規模の支援策に一喜一憂せず、地域行政としてできることは何か、民間は民間でできることは何かを、改めて戦略を練ることが重要だ。
小規模観光であろうと地域振興の戦端を拓く重要な産業だ。地域交通も人材誘致も農林水産業だって観光と密接に関係する。観光事業を存続させ、地域へ活力を届けることは社会貢献なのだ。
5月25日どうやら全ての地域で非常事態宣言が解除される。
県外からの誘致はまだ厳しいかもしれないが、観光は感染対策を取りつつ、堂々とキャンペーンを張り移動を促していこう。