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コロナ禍後の未来を考える(2)

■コミュニティを崩壊させない
地域の健康とは「個人や家族の健康」と「コミュニティの健康」「経済・雇用の健康」のバランスで成り立っており、住民生活はその重なり合うなかに住民生活が営まれている。
しかし現在はあらゆる場面での分断が進み、いつ自分に降りかかるかもしれないコロナ禍に利己的になり、地域は疑心暗鬼で信頼関係が薄らいできている。
最前線で命を賭して戦う医療関係者への差別や感染者捜し、背に腹を変えられず開けている店舗を誹謗中傷するなどヒステリックな現象が増加傾向だ。
支え合ってきたコミュニティでさえ、分断も始まりコミュニティが危機を迎えている。
もしかすると今後はアフター・コロナでなく、ウィズ・コロナ(コロナとの共生)の時代かもしれない。
こうした問題に気づいた人々が、自ら発信したりグループを作り、利他の精神の元に、医療現場や福祉ほか様々な場面で活動し始めている。
5月末まで人もモノもエリアの移動さえ止まった日本。
人材や良い資源に恵まれていても、共感共有のないバラバラな取組では、地域の暮らしや経済の再生はできない。
そこでコミュニティ再生の初動では、安直な施策ではなく自然・文化・教育・経済・生命・健康など、極めて多様な観点からの総合的な探求をする中で、10、20年後も暮らしたい地域としての経営を考える時期がきている。
米は収穫するまでに1万℃の累積温度が必要だ。コミュニティも熟成するには長い年月が不可欠だ。時間をかけて癒やすしか方法はない。

■本当に必要なサードセクター
この厄災で自分や家族の命、暮らしを守るのは自分しかいないということに皆さんは気づいた。
旧来の日常生活はアフター・コロナで戻ってこない上に、セカンド、サードインパクトが訪れるかもしれないのだ。そのときにまったく新しい世界が出現するだろう。
国を始め行政が非力であることが気づいた今、依存体質から抜け出し自立することが生き残る道なのだ。
そのときまでに疲弊した地域を住民と共に再生させるツールとして、自前で稼ぎつつ地域貢献をする「稼ぐ役所」の創設が急がれる。
これからはコロナ禍のクラスターでなく、地域の絆クラスターが必要なのだ。
「稼ぐ役所」は地域に埋没したニーズやウォンツを掘り起こしつつ地域経営の理念を共有し、再生の基盤づくりを進めるため、住民と産・官・学・金を結びつけ地域の「共創の場」を構築していく扇の要になることだ。
多様な主体の参画を促し、横断的・総合的に調整しプロデュースする役割を担うには、地域に不足する人材、知識、デザイン、マネジメント、資金調達ほか、複数のリソースを補填することを目指さなければならない。必ず地域に潜む、様々な課題を解決する本来のサードセクターが必要になる。
ドイツには志を同じくする7人以上の構成員で設立できるフェアアインという団体(法人)が認められている。いわゆる住民が全員参加を義務づけられるような活動はではなく、自らの想いを叶える自由参加型の活動団体で、営利・非営利に限らず何でもありの活動だ。これからはマネーファーストからヒューマンファーストに地域自ら変貌しなければならない。
地域エゴでなく「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識で、住民が考え、共有し、自ら行動するためのサードセクターの構築は持続する地域の条件となるだろう。
目先の戦い巻き込まれることなく、多様な主体による小さなサイクルを創り出して行こう。

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