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地域再生のための観光とはなにか~横道2~学校の存続

◇小学校は地区の生命線

平成の市町村大合併から休廃校が顕著となった。この動きが出たのは第一次安倍内閣で設置した教育再生会議が「国は統廃合を推進する市町村を支援する」と打ち出したことに起因する。

この流れを作ったのは当時の財務省だ。「学校統合は、教育政策や住民自治等が関係する面が強く、財政効率化という観点のみで論ずるべきではない課題」と言う一方で、「学校統合によって人件費を中心に小中合計で約170億円の効率化、児童生徒一人当たりでは約3割の効率化が図られた」と教育効果の検証や地域への影響など全く考慮しない報告を行った。

そして予算査定の方向として、

①少子化が進展する中、全国あまねく教育の質を向上させつつ、コスト縮減を図り、効率化を進めるためにも、学校規模の最適化を目指す必要がある。

②地方自治体が学校の統合を積極的に進められるよう条件整備する必要があり、各地方公共団体・各省庁横断的な取組みを検討すべき。と効率化だけで「学校規模の最適化」を文部科学省まかせでなく、都道府県に対して「人件費を負担する都道府県は統合による財政効率化のメリットの最大の享受者」として積極的に学校統廃合に関与させる方向を打ち出したのだ。

そして文部科学省も2015年1月、59年ぶりに公立小中学校の統廃合に関する基準を見直した。手引きでは1学年1学級を維持できない小中学校については「教育上の課題が極めて大きく、統合の適否を速やかに検討する必要がある」と指摘したのだ。

皆さんの地域の学校が統合や閉校に追い込まれているのはこうした背景があり、PTAへ積極的に閉校を進めているのは、県教育委員会の指令で動く校長先生という実態も見受けられる。

この動きに諾々と乗る市町村と反対運動を起こす住民で、地域が分断される事態になっているところもある。少子化で子ども達が可哀想と説明する教育委員会にPTAはそうなんだと納得してしまう。

あるところで「学校にいく年齢になったので、自分が生まれ育った環境の良い田舎に引っ越してきた。でも自分が通った学校が無くなれば、Uターンした意味が無くなる」という話を聞いた。

ここでひとつ自治体トップは考えて欲しい。地域の人口ビジョンを策定して、子育て世代に定住してもらおうとしたのは国に言われたから、補助金をもらえるからでやったのでしょうか?そうであっても地方創生では高齢化や少子化を克服するために子育て世代の移住定住人口を増やすことが主眼でしょ?普通に想像して欲しい。移住先の付近に保育園や小学校が無いという教育環境に、子育て世代が飛び込んでくるとお思いか?地域の子ども教育が効率化だけで劣化することに気づかないとしたら首長は地域の未来を蝕む存在でしかない。

学校は住民とともに歴史を刻み生きてきた場所であり、地域アイデンティティの核だ。その学校を行政効率性だけの「基準」で地区から奪うことは、そこで暮らすなと言うのと同じ。

地域を切り捨てる地方自治体の未来はない。どれほど素晴らしい再生計画を立案しても、予算不足を理由に学校統合を図るなら「ここは住むところじゃない!」と言っているようなものだ。

地域創生は地域に帰ることができる、好きな地域で暮らしたいということを実現させることが重要だが、肝心の自治体が、効率重視で帰る魅力を削いでいるのでは想像力の欠如としか思えない。何度でも言おう!国が進める地方創生は、子どもを増やすプランである。

廃校とする前に補助金頼りで自立できない施設や団体を潰す、実施することが目的となったイベントを無くすなど、予算配分を次世代の担い手づくりにシフトすることだ。

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