旅は学ぶもの、考えるもの、多くの人々と知巳になる行動である。そして固定化していく自分の殻をやぶる機会を作るもので、旅をしていて楽しいのは良い人の心に触れることである。そこで生活している人たちと話し合うことのできるのも大きな啓発になると旅の巨人宮本常一は「旅と観光」で主張した。
飯田型ツーリズムは、まさに宮本が述べる「学ぶ旅」を基軸としている。
その学びの素となるものは、農山漁村の日常の暮らしに潜んでいる。
「いただきます」って、他の命をいただくことなんだ。このような気づきを飯田に訪れた老若男女が口にするのは、リアルな体験でストレートに感動するからである。
グリーン・ツーリズムは農林漁業という生産基盤が無いところで成立しない。また暮らしがないところで行うツーリズムは「ほんもの」でなく、地域の自立には貢献しないことを理解願いたい。
農家の教育力(農力)を活かす『体験教育旅行』や『南信州セカンドスクール』は、自然体験・農林業体験・食体験ほか南信州に存在する多様な資源をプログラム化しており農家民泊もひとつのプログラムである。
飯田のプログラムはひとつも外れがないと教師に評価され、全国の小中高校生の成長を促す「ほんもの体験」が売りとなっている。
援農をキーワードに農家の暮らしそのものや生き様に触れる『ワーキングホリデーいいだ』は、農業農村の特性を最大限に発揮させる究極のツーリズムであり、その目標は定住者の増加である。
観桜の考えを変えた『桜守の旅』は、里地里山のエコツアーであるが、この企画で市民が地域の宝を再認識する機会となった。
このように地域の魅力を自ら発見できる旅を提供し、良い人材を誘致できる旅こそが、新たなツーリズムの姿であるといえる。