先週の講義に続き、今日は受講生が考えたツアー企画を提案してもらった。
この事業は外務省が、ハバロフスク・ウラジオストク・サハリンの日本センターを通じて、極東部の観光関係者を招き、日本で2週間の研修をしてもらう観光ノウハウの技術支援するもので初めての観光分野のOJT研修。
その到達目標は以下のもの。
(1)日本における観光地域経営の考え方ならびに実際の取り組み事例に学び、地場の資源を魅力ある観光資源に転化するプロデュース能力を習得する。
(2)日本の観光産業におけるホスピタリティ・マネジメントを通じ、観光客に質の高いサービスを提供し得るホスピタリティ人材育成への着眼点を得る。
(3)観光分野での日露交流に向け、両国の観光振興に向けた人的ネットワークを形成する。
たくさんの講師陣で私のみが暇だったのだろう。最終日のツアープレゼン演習の講評を依頼され、外務省へ。
かつてビジット・ジャパンを始める前年に国土交通省の依頼で在京大使・公使へ日本の田舎をPRしたときに外務省の方々とは名刺交換した程度で、こんなこともないと外務省とは関わりなく省庁で唯一、足を踏み入れたことがなかったエリアだ。
2週間の研修内容は非常に良かったとの評価であった。今までまったく考えたこともなかった地域資源を見直し、ハードではなくソフトを全面に人を全面に出したプレゼンは、先週の講義でしたことだが早速成果をだしてくれたと感じた。
旧来の観光しか企画しなかったため観光客に飽きられていたところで、彼ら彼女らにとって目からウロコでカルチャーショックであったに違いない。
私が魅力を感じたエリアはハバロフスクとその周辺、素材はバイカル湖とシベリア鉄道に西洋文化とアジア文化が共存、さらにロシア正教とシャーマン教が並列する世界の面白さは、どのようにでも料理できる極上の素材。
来年にかけて日本からのエコツアーを仕掛けるべく、具体ツアー企画づくりのサポートを依頼された。ガイドも一人旅でも付けてくれるというから団体旅行より少人数のエコツアーに最適だ。
ロシア大使館の書記官からは、出身地のサハリン観光について相談を受けた。日ロ外交で微妙な問題もある地域ゆえに慎重にならざるを得ないが、間宮林蔵の足跡を辿る旅と海からのエコツアーを提案した。
いずれにしても国間エゴのガチンコではなく、民間交流の促進で互いのメリットが取れる観光振興を進めるべきと感じた。
受講生のプレゼン締めくくりで、「人と人の温かな交流」という言葉が出てきたことは、私の講義を理解してくれたものとの確信を得るものであった。