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「縮重社会」で自治を再定義する(3)

縮む地方社会と自治体のゆくえ
多くの自治体で深刻な事態は、総人口の縮小も大きいが生産年齢人口の急減です。
 生産年齢人口は、15歳から65歳と規定していますが、長寿化による高齢期の生活不安から、実際は70歳過ぎまで働き続ける高齢者が増加しています。
 このそろそろ後期高齢者が働き続けるのは、目の前の暮らしが大変なことと将来の不安ですが、迎える雇用者側も働き手不足を補っている点でしょう。この当たりは雇用側は安価で働かせたい「外国人問題」と同根とも取れます。
担い手不足となっている日本で「移民」は不可欠であり、その根拠となる法整備は必要ですが、一部政党が主張する「外国人問題」は、ただ根拠もない選挙パフォーマンスのように思えます。
 
 さて、縮重社会における市町村は、産業を支える人材不足が都市部より深刻で、従来の枠組みでは維持し得ない段階に突入しています。
 そのために実際に求人募集は、年齢を問わないケースが増加し、70歳を超えて働く人も多いのです。
 でも農林漁業は、80歳を超えても生涯現役として頑張っています。この方々が本当にリタイアしたら、輸入に頼るしか食料調達ができなくなるでしょう。

 地方自治体は、地方交付税や過疎対策、地方創生事業など、制度上は手厚く満たされているように見えます。
 なのに全国の自治体で財政危機宣言が発出されているのでしょう?
 つまり現実には全く不足する中での自治体運営しているのです。
 地方交付税制度の「基本財政需要額 」の算定は、旧来の人口構造や国の財政基準に依存したままで、実際の現場で必要となるコスト増を十分に反映していなせん。この配分構造が問題なのですね。
 この地方財政の困窮に対し、国は令和7年の年末に突然、東京都の懐に手を伸ばしました。
 1都3県(東京・埼玉・神奈川)の人口は約3691万人。日本の総人口3割が、このエリアに集中しています。
 さらに大企業のほとんどが、このエリアに本社機能を有しています。
 人口だけではなく税収面でも東京一極集中しているわけで、「税収」が爆上がりするのは当たり前なんです。
 東京都の税収は2025年6.9兆円。全都道府県で唯一、政府が算出する「標準的な経費」を自力でまかなえます。
 独自施策に充てられる税金は、住民1人あたり28.1万円で46道府県の平均7.8万円と比べ約3.6倍であり税収格差が拡大しています。
 そこで政府・与党から東京都の地方法人2税 や固定資産税の一部を地方に回す案が出てきたのです。
 しかし、この案は地方税の付け替えでしかなく、地方自治体の財源不足を補う抜本的な改革とは言えません。
 地方自治体の財政は、国からの交付金や様々な助成で賄われており、いわゆる「三割自治」が実態です。
 ゆえに某市が「ふるさと納税」問題で楯突き、国との関係が悪化したように、国の言うことを聞かないと、どのような仕返しがあるか分からない。
 律令国家の時代から歴史的に日本の自治権は、国家が中心に位置し、自治体はその下位に配置され、さらに地区や集落はその下に置かれて居るのです。つまり自治体が国家政策に対して、独自の判断や拒否を行うことは「畏れ多い」ことと言うわけ。
 当然、国家公務員も「自治体は国の行政組織の一形態」として考えています。
 一方で、地方自治体の首長や議会、職員、さらに住民まで「お上」には逆らわず、天からの下賜に頭を垂れ唯々諾々と従うことが安心・安全で平和だと思う傾向もあります。
 ただ現在、心配なのはその狭間に堕ちた自治体職員の構想力・企画力が落ちていることが、とても気がかりです。

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