一覧連帯の農都共創

今そこにある食糧危機

昨年の異常気象による米の不作から、都市部で「米不足」が騒がれている。
江戸時代末期、異常気象による大飢饉の際、自領の米を大消費地に流出させない「津留」を各藩が実行した。藩財政は火の車であったが、領民を飢えさせても財源を確保しようとは考えなかったのだ。
そのため江戸や大坂では米問屋の打ち壊しが勃発、かの大塩平八郎の乱はこうして起き、それが倒幕に向かい江戸幕府は終わった。
昨年の米国の小麦輸出制限は、自国民の食糧確保が重要であることを示している。不測時でも安定した輸入を維持できるなどと妄想を抱く国は誠に危ない。
それを懸念したのか附帯の関連法「食糧供給困難事態対策法」も唐突に出された。
法律を簡単に訳せば、米などの農産物で不足が出たら首相が「〇〇を作れ!」と命令するもので、逆らえば農家に罰金を科す法律である。
さて政府は米を一週間以内に増産しろと命令を出すのだろうか?
コロナ禍のマスク増産と農産物増産が同列に扱われていないだろうか?
農水省では156万トンを備蓄してあり不足はないと火消しに躍起だが、産地で大災害があれば国民が食せる米は確実に不足する。
だが今年も酷暑が続き作柄に影響を与えており危機は目の前にあるのだ。
国内の多くの農村は中山間地域にあり、家族経営をベースに大型化や省力化とは無縁な農業を営んでいるが、再生産が困難として農業経営体が2022年に100万を割り込んだ。
その要因はもちろん収入が少なすぎることだ。例えば国内の最低賃金は1000円を越えたが、米農家は時給換算すると300円前後しかないそうだ。
皆さんはその賃金で働きますか?
そのくせ農産物がちょっと値上がりしただけで、大手メディアが大騒ぎし消費者も高くて買えないと同調する。これでは農家は力尽きてしまい、誰一人取り残さないとするSDGsの目標から逸脱している。
輸入のセーティネットを整備するのも良いが、国内の農業農村を持続させるセーフティネットの確立の方がもっと大切でしょうね。
飯田市千代の棚田百選「よこね田んぼ』

Pocket

QRコード