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観光は、飲食業は、どうなっちゃうんでしょうね

コロナ禍の中、東京2020は無し崩しで開催された。総理大臣は日本のメダルラッシュに狂喜していたが、その裏側ではコロナウイルスに席巻される状況を甘受してしまった。
穴だらけであったが五輪のバブル方式は多少機能していた。
問題はエビデンスが無いにも係わらず「五輪が開催されるのだから自分たちも安全だ」という国民の気の緩みがコロナにつけ込まれた結果が、トップが「災害レベル」と言う現状なのだろう。

オーバー・ツーリズムが叫ばれた観光ははたして再興できるだろうか?
私はこの状況になるまで2023年にインバウンドも国内観光も戻ると言ってきたが、どうもそれは幻想で政府のワクチン頼みだけの放置政策では、早くても2024年にならないと観光客は戻ってこないと思えるようになってきた。
新型コロナウイルス関連倒産は、2021年8月18日現在で全国1900件(法的整理1763件(破産1679件、会社更生法1件、民事再生法68件、特別清算15件)、事業停止137件)で、業種別の上位は「飲食店」(314件)、「建設・工事業」(190件)、「ホテル・旅館」(106件)、「食品卸」(100件)となっており、私の知り合いの飲食店や宿泊業でも倒産の話が漏れ聞こえてくる。
観光は水ものであり、たった1つの厄災で周辺を巻き込み崩壊する。しかしそうした幾多の災害を乗り越えてきた観光分野のレジリエンスは強力だと信じている。

ポストコロナにパーフェクトマニュアルなど存在しない。いや元々、こうすれば儲かるとか継続できると思い込みがあったか、いわゆる経営コンサルタントのような方の言葉を妄信していたかもしれない。ニューノーマルの時代の観光で、従来の考え方や行動は通用しないことを認識すべきだ。
現にパンデミック以前よりも国内旅行に行く可能性は低いとする人たちは増加している。
私はコロナ禍前から地方の暮らしの根本部分が観光となると提言してきた。
日本社会は激変し始めている。既に消費者側では「量」が「良」では無くなっている。
ニューノーマル社会では、何から何まで満腹を追い、消費を促した「密の経済」が通用しない。
ニューノーマルの基本は「安心・安全」だ。
その点で田舎は、なんと言っても「疎」であることが武器となる。疎の経済の動力は水や農地や森林、歴史文化といった「地域社会の公共財」である。これからの旅のニーズは健康や安全・安心だ。密でない田舎は適度な「疎」を保てる。
最近、注目が集まっているワーケーションは、その公共財を上手に取り込んだ成果だろう。

観光の回復プロセスでは、激変する社会に柔軟に対応できるマネジメントを第一に、地域の多様な資源をリメイクし吸引力の強いコンテンツを創り上げることだ。
「疎の観光」のメインは、長期・短期滞在に係わらず、暮らしにどっぷり浸かる企画が良い。そのためには、住民との関係性を深める、人との接点や交流の場を創造していく工夫をすることだ。“人対人”のコミュニケーションを重視した観光デザインは、他との差別化ができる。
また差別と言われるかも知れないが、国が進めないワクチン・パスポートの地域版を立ち上げる事も有りだろう。いずれにしてもリスク・マネジメントを徹底しつつ、良質の疎の観光地を目指すのは今がチャンスなのだ。

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