一覧地域再生

時間を喰らう新型コロナ

ミヒャエル・エンデの「モモ」が最近のトレンドに上がった。
時間は貯金できない。自粛で在宅を余儀なくされ無為に流れる時間を、どう有意義に過ごすかが問われる時代になったことが要因だろう。
その影響は旅行や飲食を始め、様々な消費で大幅な縮小が起きた。
コロナ禍前で既にメリハリ消費の傾向はあったが、もはや内向き思考と言うより、家向き(自分)志向となり、本当に自分に必要なものは何かという消費に対して考える時間ができたことが要因だ。
不要不急の外出を控え、企業はオンライン会議、テレワークなど働き方も具体的な構造変化が起きた。
「新しい生活様式」が推奨されているが、生活者としての意識は、この急変に対処できず、約8割がストレスを感じているという。在宅時間の増加やテレワーク、ソーシャルディスタンスなどで職場だけでなく家族や友人とのコミュニケーション不全に陥っているからだ。
Withコロナは暮らし方や働き方の構造が激変している。さらに秋以降に囁かれる第三波で将来への不確実性に対する不安が増し、個人のモチベーションが低下しているのも事実だ。
だが新型コロナは、地球温暖化のブレーキを少しだけかけた。無国籍なグローバル経済から少しだけ、ローカル経済を考える機会を与えてくれた。
なかなか進展が無かった働き方に変化をもたらした。
我々が見失っていたより良い未来を示唆してくれたかもしれない。

分断社会でますます格差は拡大
コロナ禍により異常な自粛警察や無言の同調圧力が増している。
人間の基本的な関係性は「繋がり」だが、コロナ禍で微妙な距離を取らざるを得ない状況で、お互いのことを分かり合えない社会の分断化が始まっている。
産業や雇用では末端までアベノミクスの滴が落ちなかったことで、格差あるいは貧困と言った問題が顕著となった。
日本では家計貯蓄率はマイナスとなり、子どもを持てないとか重い教育費で疲弊、適齢期でも結婚できないとする若者が増加した。社会保障やセーフティネットがまだまだ甘いためだ。
ベーシックインカムやダイバーシティ、SDGsを単なる呪文で唱えるのではなく、それぞれの場所や職域で「多様性の創造」を真剣に取り組まないといけない。
格差是正は国などが公的に取り組むことは重要だが、自分の身は自分で守るしかない世界に突入している。
「誰かがやってくれる、助けてくれる」のではなく、自分自身の問題として考え自ら行動することで未来が開けるだろう。

Pocket

QRコード