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SDGsで再起動する-DH(デスティネーション・ハブ)を創ろう

地域おこしやまちづくりは、それぞれ固有価値財を持っている。
地方は打出の小槌を持っているのだ。
持っていることに気がついていないだけで、地域の歴史や文化生業の中に潜んでいる。それらは地域で一人ひとりと丁寧な出会いと会話をすることで、埋もれている資源や担い手が姿を現すだろう。
これこそが打出の小槌チャンスだ。「大きくなあれ」と振ればよい。
小槌に気づいた人たちが大きな次のチャンスに繋がるのである。
これこそが打出の小槌チャンスだ。
これを旅人に開放すれば、その小槌に気づいた人たちがやってくる大きな次のチャンスに繋がるのである。
江戸時代には何かを創り出そうとするとき、人々が集まる「連」というグループを結成した。
その「連」はいわゆる公的組織でなく大きくても20人以下で、一つの組織が大きくなることを良しとしていなかったという。
そのため必然的に小さな組織が増えたが、各連のリーダーがコーディネーター的な役割を受け持つことで、他の連とも交流していき大きなうねりを創り出していた。
こうした小さなグループによる「まちづくり」ができていないところに、地域と乖離した組織を作っても、住民にその組織の大切さやメリットが理解されない。
固有価値財を持たず、どこかの優良事例を真似るような地域おこしは早晩限界が訪れるだろう。
疎の一例が、政府が導入促進を図ったDMOだ。
DMOのベースを「地域」に置くならば「地域づくり・まちづくり・人づくり」を行う組織であるという前提がなければならない。
ある広域DMOの例を聞いた。その組織は複数の市町村から出資を受け設立したが、組織の人材は数名の正規職員と行政からの出向職員の寄せ集めで、参画した市町村は設立出資金を始め毎年、負担金を納入していた。しかも毎年の負担金はプロパーの人件費と広告宣伝費。ただ動画などの情報発信ばかりが走り、大した成果が上がらない実行力にはほど遠い状況だった。
その目的がどれほど崇高であっても、運営費の大半が人件費と情報発信では、DMOにも金は残らず登録後、ずっと赤字が続くのは自明の理である。
出資した自治体もDMOの職員も公益組織だから儲けなくて良いと考えているかもしれないが、具体的に観光客の増加が図られ、地域の利益が確保されることが組織設立の一番大切なことであったはずだ。
たしかにプロモーション活動は、組織トップが喜ぶ派手さもあり、顧客に認知されていない地域にとっては重要な事柄であることは間違いない。
だが自分の地域でどのような受入ができるか、どのような資源や人材を有しているかを把握するなど、受入に必要なハード・ソフトのインフラ整備ができていないと、客とのギャップが生じたり、住民の暮らしを脅かすことになる。
組織で重要なのは、しっかりとした財政基盤と経営ノウハウにプラス、マンパワーだ。
この課題を理解しながら地域DMOを立ち上げる自治体はどれほどあるだろうか。
観光庁の旗振りと予算付けで表層的な組織を創設すると、組織財源が脆弱な組織は戦略の達成が困難になるばかりでなく、後々に憂いを残す結果となるだろう。
観光庁はこうした課題を解決するため、2019年3月に「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」の中間取りまとめを公表し、DMO全体の底上げに向けた改善の方向性が示した。
しかし中間報告では「インバウンドの誘客に対応した先駆的なDMOであることを前提として」と明言しており、その理念はあくまで訪日外国人の誘客戦略であり、インバウンド=地域活性化というショートカットされた考えに変化はない。
ではインバウンドの受入をしたことで地方は窮地を脱することができただろうか?
残念ながら全国にまんべんなく効果があったとは言い難いし、政府と一緒にインバウンドのお祭りワッショイでは、とうてい地元に利益は到底生まれなかっただろう。
コロナ禍は慢性的な経営難や後継者難という、基盤が脆弱な中小小売りを直撃した。
6月5日現在の倒産は全国で222件(帝国データバンク)と言うが、怖いのはこの数値に表れない「隠れ倒産」「あきらめ倒産」と言われるものだ。
皆様の地域でも耳にしているかも知れない。遅々として進まない持続化給付金などの支援を待てずに自主廃業を選択し、ひっそりと廃業した店舗などあるだろう。この仕事は自分の代までと決めていた経営者の心を折るコロナ禍だったとも言える。
こうした地域の大切な企業・店舗や雇用先を失うことは本当に痛い。
インバウンド観光に依存していたところは、地獄の苦しみだろう。観光は本当に水ものなのだ。
急場しのぎで観光だけの一本柱では、ちょっとしたそよ風の観光客減少でも倒れる。消毒液が置かれる観光客がいない清水寺の祭壇
ゆえにポスト・コロナでは観光一本槍ではなく、何かを一緒に創造するために多様な主体(個人・団体・企業)が手を取り合い動くためのDH(デスティネーション・ハブ)は必要だ。
地域のプラットホームとなるDHは助成金や補助金がなくても、地域を持続発展させるために必要不可欠の組織だと考えている。
地域再生を担うプロフィットセンター組織として、地域課題を住民と共に乗り越えるツールとなり、地域発意のローカル・ビジネスの創業・起業が育つ環境づくりを進めなければいけない。
もちろん自前で稼ぎながら地域貢献をする「稼げる役所」としての創設だ。
DHの業務は多岐に渡るだろう。
地元固有の農林水産業や自然や景観を活かす、伝統に根ざした町並みや建物の保全をする、文化産業財の活性化させる、次世代の担い手創出する、商店街の再生、教育・子育て・福祉を支援するなど様々な支援があるだろう。
地域課題を異業種で繋ぎ考える。その中で地域固有の価値財を基盤として「現地での消費と生産の一体化」を目指す地域密着型事業創出も重要な業務となる。
例えば事業継承が困難で廃業する業態があるとき、今までは商工会議所など業態の限られた相談しかできなかったし、会員情報しか無かったことで成立しなかった事もあるだろう。しかしDHは業態に関係なく情報集約ができる。今まではあり得なかった異なる業態を繋いで事業継承する可能性も出てくるのだ。

SN3O0592

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今までNPOなどが細々とやっていた買い物代行サービス業がコロナ禍で急増している。過去では無かったサービスが創発してきたのだ。当然、異業種を繋げ特産品などの供給・販売システムの構築も可能だろう。
地域の課題は現場に入らないと分からない。しかも役所の肩書きで入るとバイアスの掛かった声しか聴けないし、ちょっとだけ地域を回っても根本の課題はあぶり出せない。そこはDHの外部人材に委ねることで解決策も見えてくるはずだ。
ミッションの共有ができる一経済圏エリアなら単一行政にこだわる必要は無いし、行政の制約を受けない。明確なビジョンを示し参加する意義が共有できれば大きな力となる。
地域に埋め込まれたニーズやウォンツを掘り起こすなかで、地域経営の理念を共有し、その基盤づくりを進めるため、住民と産・官・学・金を結びつけ地域の「共創の場」を構築していくことがDHの使命なのだ。

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