日本文化は引き算の文化と言われます。茶道や俳句などのワビサビの世界はその代表的なものでしょ
う。
明治維新後は、その文化に逆らい欧米の「足し算文化」を創ってきました。
そういえば昨年11月にミシュラン東京2008が話題となりましたね。いろい
ろとご意見はあると思いますが、日本料理に限って言えば、欧米人に引き算の日本料理が理解できたのでしょうか疑問です。一緒に日本人も廻ったそうですが、
素材をいかに活かすかという食文化そのものが、日本人のアイデンティティのはずです(確信犯の言い方ですが)
もうひとつ「もったいない」の言葉も流行りましたが、これは流行ること自体、日本人が日本人で無く
なっている証拠です。
無駄を省く、リサイクルすることは古来より日本人の精神でした。
水や石油、鉄など有用な資源が枯渇する現在、もう一度、日本人の精神を世界に発信すべきと感じてい
ます。
でも、この発信は24時間不夜城の都市では無理ですね。
お分かりですか。今まで書いてきたことに全部対応できるのは農村なんです。
日本の食文化が残り、地産地消の新鮮素材を活かした料理ができるのは、田舎に限ります。
丹精込めて作った作物を「もったいない」と実感するのは農家です。
景観は欧米人が「これぞニッポン!」というワビサビの世界です。残念ながら化石エネルギーはまだま
だ使っていますが…。
引き算の観光資源の代表例に、大分県豊後高田市の「昭和の町」があります。仕掛け人は今、飯田に来
て「天竜峡」の再生を手がけている金谷俊樹さん。
他の地域でも「引き算」で考えた「まちづくり」をしているところがたくさんあります。
ベタベタと化粧した「文明社会」よりもスッピン美人の田舎に、旅に出かけませんか。