真澄は飯島町から駒ヶ根市に向かう道中で、「まねぐり」(飯島編で改めて記述予定)で忙しく働く農村風景を見ている。旧暦の5月5日だから今の6月4日だが、昔は田んぼの準備がそんなに遅かったのか。
田仕事で忙しく、端午の節句なのに軒下にアヤメを吊しているだけだと記述している。
最近はジャーマンアイリスに席巻され、地味なアヤメは目立たないし、減ってもいるように気がするが、高森町の瑠璃寺の近くでアヤメを育てて20年という夫妻がいる。
小川洋さんは、長男が亡くなり相続した高森町大島山の実家へ58歳の時に奥さんの恭子と移住したのだ。
証券会社に勤めていた洋さんは、花に興味は無かったが、花好きの恭子さんに引っ張られるように花畑を作り、訪問客の目を楽しませてきた。
しかし小川さんの花畑は今年が最後だ。
奥さんが病気になり、子どもたちがいる東京に転出を決意したのだ。
20年育ててきた芝桜の富士山の頂上部分は既になくなった。あとの花々も整理するという。
家も畑も処分する。来年はこのアヤメ畑も見られないのはとても寂しい。