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TPPと日本農業

 混迷する日本の未来を託す衆議院選挙で、国民は自由民主党を選択しました。選挙当時は与野党ともTPP交渉参加でトーンダウンし、どこも口当たりの良い言葉を連発していたのは夢だったのでしょうか。
 現在、参議院選挙に向けて野党はTPP反対を唱えているが、支持率がアップしている安倍内閣はTPP参加へまっしぐら。2013年4月12日に発表されたTPPに関する「事前協議」に関する合意文書が日米で内容が違う(内田聖子氏のブログhttp://uchidashoko.blogspot.jp/2013/04/tpp.html)という摩訶不思議な状況だ。
 日本総合研究所の藻谷浩介氏は以前から、日本車の関税撤廃がされないTPPは日本の経済的メリットはない。他方で日本国内の制度を米国標準に合わせていくことは危険が大きい。官民が「市場経済に任せておけば万事OK」という安直な原理主義に染まっていては結局、経済的な利益を失ってしまうと危惧していたが、残念なことに実態は全て米国の要求を丸呑みしての参加という構図だ。
 金子勝慶大教授も日刊ゲンダイ(4/17付)でTPPの本質は参加相手国のルール決定権を奪うことにあり、怖いのは米国の多国籍企業が相手国を訴えることができるISD条項だと論じている。

 TPPを日本の工業と農業の対立構造で矮小化してきた大手メディア。一般庶民にまったく恩恵が届かないアベノミクスと日銀総裁の大盤振る舞いで円安・株高となり、何ちゃって気分上昇が消費を押し上げだした。空回り景気で消費税増税の道筋は整ったとみて良いでしょう。
 だがこの数字を見て読者の皆さんはどう思いますか。
 日本の貿易収支不均衡で最大の国は米国である。
 つい先日までの1ドル80円時に米国から対日貿易を見ると、
平成23年の対日輸入は1,250億ドル(100万円の車1000万台分)
       対日輸出は740億ドル(74,000円/tの肉 8000t分)であり、
       対日貿易赤字は510億円となる。
 では現在上がりつつある円を仮に100円レートで単純計算をすると、
      対日輸入は1,000億ドル(100万円の車1000万台分)
      対日輸出は740億ドル(92,500円/tの肉 8000t分)となり、
      対日貿易赤字は260億円と半減します。
 まあ経済なんてこんなもんなんです。日本国内でTPPを農工の対立軸だけで見ることの愚かしさ。
 円安も米国が有利になるから放任しているといえます。TPPの問題は保険や医療そして農薬や遺伝子組み換えなどの食の安全が大きいのです。

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