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連帯の農都共創(序二)

世界ではウィズコロナで経済が復活し始めているが、国内経済の回復が遅れている。インフレ要因の1つが日米の金利格差であるが、これは円の価値が下がったわけで日本そのものが世界で埋没していく序章となっている。
国連の「世界の食料安全保障と栄養の現状報告書」によれば、世界で9億2,400万人 (世界人口の11.7 %) が深刻な食糧不安に直面しており、2030年には6億7000万人近くが飢餓に直面すると予測している。
21世紀の人類最大の課題は、環境に加え「食」と「水」が挙げられるが、日本国内では自給率は2022年38%で、飢餓リスクは確実に上がっており、飢餓問題は決して対岸の火事ではない。
これまで国が行ってきた農業政策は、ひたすら規模拡大で米国の「大農化」に憧れているようである。農業に限らず米国のグローバルスタンダードの考え方、いわゆる「規模の経済」体制はコロナウイルスの蔓延で修正が必要だろう。同様にグローバルなサプライチェーンもコロナとウクライナ侵攻、中国の動向などで方向修正を強いられている。
日本国内ではコロナ禍が始まった頃から原材料価格が高騰。さらにロシアのウクライナ侵攻の影響が重なり、エネルギーや穀物など基本の原材料価格が高騰し、それに伴った強いインフレが止まらない。
ウクライナ侵攻が国際的な食料と農業のサプライチェーンに大きな混乱を引き起こしている。
日本の農業関係でもエネルギーや肥料・飼料の価格上昇が顕著で、農業のサプライチェーンが破綻してしまった。
一次産業の現場の疲弊は食料安全保障に直結する。ところが国は地方の一次産業を「生かさず殺す」と言う政策で、生産者たちを危機に瀕させている。
グローバルに展開する大企業と国防には手厚いが、国民の命を育む食料生産現場を蔑ろにしては国が崩壊するだけだ。このままでは国民を飢餓の世界に連れて行くことになる。
政府はもう「やっているふり」をやめて、一次産業の再生を本腰で進めるべきである。
いま、地方の一次産業再生を再生することこそ、日本の再生につながる。
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「最後のわら一本でラクダの骨も折れる」と言う英語のことわざがある。何かで耐えられる限度を超えてしまうと僅かな事象(たった一本の藁)で折れてしまうと言う意味だ。
コロナ禍からなかなか復活できない地方は今、その最後の藁が背中に置かれようとしている。
世界中がボーダーレス化する昨今、
地方から潤沢に都市へ、モノ・人・エネルギーを送り続けるためにも、地域の一次産業活性化が絶対に必要である。
東京という中心が生き残るには、周縁の農山村が元気になれるかどうかにある。
明治政府による国民への刷り込みは見事なくらい成功した。
人は東京が、東京大学が、富士山が一番であると認識し、それ以外は「ハズレ」だと次世代に語り継いだ。教育での正解も一つしか無いとした。
東京をトップに地方を従える構図は現在も変わらない。
もう地方に負担を掛けないで欲しい。
一次産業にしわ寄せをせず、国の根本である一次産業の振興に全予算を振り向け地方を再生して欲しい。成果は必ず国を助け、国民を救うことになるはずだ。
都市と地方に上下はない。地域は「みんな違って、みんな良い」
農は「なりわい」で考える、むらは「共同体」で語ることが今こそ大切だろう。

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