10/10より国内では「全国旅行支援」が始まり、11日からインバウンドの水際対策が緩和された。
岸田文雄首相は臨時国会で「円安のメリットを最大限引き出して国民に還元する政策対応を力強く進める」と演説した。
先日も書いたが、消費額を5兆円超まで高めるとの目標を所信表明し息も荒いが、5兆円の消費に対応する観光人材をコロナ禍で失って以来、戻りそうもない。
円安を売りにしたインバウンド・バーゲンセールは、すなわち日本のサービス業を叩き売りすることだ。
サービス人員が不足しているところに、訪日客が急増するとますます従業員は疲弊するだけだ。消費者側のみへの支援では現場が持ちこたえられない。
この状況を打破するには、オーバーツーリズム対策と不安定な観光従業員の賃金アップなどの改善を図る支援が必要だろう。DXで省力化したりバーチャルツアーなどできる部分もあるが、観光は「人」がいてこそできる産業だ。
政府は観光客数ばかりを喧伝するが、コアな日本ファンの獲得に目配りして欲しい。
既に日本の文化(サブカルチャーを含む)ファン層は大きなマーケットだ。この訪日客を何度も訪問するリピーターとする取組が重要だ。
著名観光地から外れる地方まで、インバウンド客がしみ出すには、もう少し時間がかかる。
全国旅行支援は小手先の取組だが、あくまでも「その地に行くきっかけ」づくりにすぎない。その場しのぎの稼ぎでなく、訪れた客をリピーターにする取組を実施しないといけない。
幸い平日の助成額が高いことで、国内旅行の大きな課題である休日集中を緩和し、多少でも平準化するチャンスとなる。
地方は我が地域の品質向上に力を注いで欲しい。
素敵な地方には、支援がなくとも観光客は必ず訪問する。