米国の肥料などに混じり潜入した外来種のセイタカアワダチソウは一時期、日本中に蔓延った。
あるとき農水大臣が地方を視察した折、「黄色い花が咲いていて綺麗ですね」なんてアホなことを平気で回りに語り農民が苦笑いしたと言う。
そのセイタカアワダチソウが勢力を伸ばしたところには、元々土着のススキが生えていた。
そしてススキは負けてしまった。
ところが10年前頃から他地域の状況は不明だが、飯田下伊那ではススキの勢いが増し、セイタカアワダチソウを駆逐しだしたのである。
瀬戸際まで追い込まれたススキは地下で反乱の時を待っていたのだろうか。
土着のススキよ、頑張れ!と応援している次第だ。
国内にはまだまだ困った外来植物が猛威を振るっている。タンポポなど日本古来の種がセイヨウタンポポに席巻され、ほとんど見ることが無くなってしまった。
●主な外来植物
アレチウリ→天竜川などの河川で繁茂。これは静岡県から遡ってきた。
アメリカオニアザミ→土着のアザミと比べトゲが大きい。
イヌ麦→根を強烈に張るため雑草退治で厄介。
ヒメオドリコソウ→我が家の周りにも毎年出てくるが根が浅く退治しやすい。
完全に土着した植物にオオイヌノフグリやシロツメグサがある。
私の子どもの頃から普通に見られる雑草で、小さく可愛い水色の花を咲かせるオオイヌノフグリに春を感じ、シロツメグサは白い花を摘んで冠を作り、四つ葉のクローバーを探したものだ。
ハルジオンやヒメジオンも米国由来の外来種だ。
いつどこから来日したか分からない外来植物。やはり肥料や飼料が混入経路の中心だろう。これについてJA全中は責任を取るべきだ。
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雑草はこのように輸入肥料への種子混入や今では使用しない牧草が野草化したものだ。また在来種との交雑で生き延びているものの多い。
過保護のような栽培作物などと違い、メチャ強く繁殖力も旺盛だ。窒素過多ともなれば野菜は駄目だが外来雑草は勢力を伸ばす力に変える。縄文時代から人の暮らしの傍で、糞尿などたくさんの窒素を栄養に変えて勢力拡大をしてきた雑草。
コロナ禍で先が見えない中でも、地下茎で勢力拡大を図るスギナのように、我々も静かに深く、そして横にネットワークを張り巡らせ、しぶとい雑草になることが肝要だ。
この図は植物が発芽する条件と地域活性化の条件を並べてみたものだ。
コロナ禍で本当に痛んでいる地方は、至急にポストコロナを見据えた活性化戦略の構築をしなければいけない。
今は雪に埋もれジッと我慢の冬だろう。しかしこうした時期から来る春に向けて「種まき」をする準備が必要なのだ。
種を蒔かない限り不要な雑草以外、何も生えてはこない。
美味しくて栄養があるものをいただくには、地域にたくさんの種を蒔くことしかない。