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土着する文化3

関東や中部ではオシラ様=蚕の神としており、天皇家でも「蚕」を飼うのは皇后様の大事な行事となっている。確かに蚕は白く農家の生活を支える大切なものだ。故に農神として成立するが、「シラ」はもう少し深く推理する必要がありそうだ。
漢字から考えてみよう。日本人は「白」を特別なものと考えている。まさに日本人のDNAに土着しているものだ。
禊ぎや切腹あるいは花嫁の白無垢、全て「純白」だ。行を行う者も白を着用するし、神社の神馬も白馬だ。葬儀も現在のような黒でなく白が普通だった。
神馬
中国の陰陽五行思想では「白」は「金」に値する。日本文化もそれに倣い白を最高の色として天皇のみ着用できた。
五行思想の季節は秋を「白」とする。故に収穫の秋は、米や芋、大根にカブなど白い食べ物を食べて食養生をすると良いだろう。白無垢
「白」に纏わるもので最近耳にするのが、北朝鮮の「白頭山」であり、最高指導者が白馬で走り回る映像だ。「白頭山」は朝鮮民族の聖地であり、王朝時代から「白頭の血統」を繋ぐとされる「金一族」は共産の仮面を被った金王朝なのだ。ただし血統が本物かどうかは眉唾だ。
米国の象徴も、単に強いだけなら他にもいるのに「白頭鷲」である。
考えてみれば白と反対の「黒」は、裏世界で暗躍するスパイとかエイリアン対策で人に見られたくない者たちだ。真っ白い衣装でスパイが登場するのは007くらいしかしらない。
そうすると世界でも「白」は特別な「ハレ」のものか。
福島原発の放射能漏れやコロナ禍での防護衣が「白」であることは、魔を封じ、清浄にする意識があるのだろうか?
防護服
「白旗を上げる」のは降参だが、捲土重来を期してのリセットであり復活を意味しているのかもしれないが、取りあえず今はコロナ禍のリセットを願わずにはいられない。
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今年は寅年だ。中国から伝来した神獣四神のひとつに白虎がいて西方の守護神である。実際にホワイトタイガーがいる動物園が国内にも十数カ所あるので、神獣を拝みに行くのも良いだろう。
同じ西方を守護するモノに白龍がいる。白龍の能力は田中芳樹の「創龍伝」をお読みいただければ、その凄い能力がわかる(笑)
西方=白とも取れるが、中国から見て西方は、かの玄奘三蔵が目指したところであり、白の起源はアフガニスタンの方にあるのだろうか?
アニメ「千と千尋の神隠し」に登場した龍の名は「ハク」でしたね。宮崎駿監督が清流の意味づけをした龍だが、「南総里見八犬伝」で曲亭馬琴は「白龍が物を吐くとそれが地面に入って金になる」と書いている。馬琴は「白」=「金」のことを理解していたのだろう。
そう言えば「白鬚神社」なるものもある。白髪白髭は超常能力を有しており、数々の奇跡を起こすとされている。私も白髪・白髭だが、いまだ能力を開眼できていない。
「白拍子」という巫女は歌舞をしながら託宣をした。
白を調べれば調べるほどに、様々な白が出てくるのである。
だがそれは何故だろう。
今、大雪で大変なエリアがあるが、雪を表現すると「銀世界」であり、「白世界」とは言わない。私は「白」そのものが、自然界で異常な色ではないかとみた。
「白」は「白し」で、目印の「しるし」や著しいも「いちしるし」だそうだ。古語では、はっきりした様を表すときに使用されたとされる。
異常で目立つ色は特別であり、特殊なモノやコト以外は使用してはならないのだ。
故に産屋を白(シラ)としたのは、子どもが生まれることは日常で無く異常なできごとであり、近づいてはいけない境界としたのだろう。
だが私はもう一つの意味合いを感じた。それは菊理媛神が出てきて言った行為である。
菊理媛神はイザナミに「シラしめた」ことだ。つまり「知らせた」わけであり、現世の公報を黄泉の国にしたのであると。
研究者の方々は当然、想定したことだろうが自分にはもっともしっくりくるのである。
一般庶民まで「白」の使い方が伝播したのは、徹底して「知らしめる」PRを行った結果だと思える。
これ以上、シラを追いかける能力が自分にはないので「白」は終わりだよ。

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