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土着する・番外編8

外来神が日本各地に土着した例に「庚申」信仰がある。
道教を由来とする民間信仰で、人の体内には3匹の虫「三尸(さんし)」が棲んでいて、1年間に6度ある庚申(かのえさる)の夜、眠っている隙に虫が体内から抜け出し、その人間の罪や悪事を天帝に告げ口をする。報告を受けた天帝は、その人の罪の重さで寿命を削るという。
2022年の6回の庚申の夜は、今日1/7,3/8,5/7,7,6,9/4,11,3だ。
やましいことを隠している「あ・な・た」この日は徹夜して三尸が出て行かないよう頑張りましょう。
この庚申の夜にお堂などに皆で籠もるのを「庚申待」(こうじんまち)と言う。とにかくその夜は寝てはいけない。田の神様が山から降りてくるときは静かにじっとしていたが、庚申待は眠らないように顔にスミを塗ったり、しゃべったり、太鼓を叩いたりする。男女が一緒に寝てはいけないと言うルールがある地方もある。
そして庚申待を3年間(18回)繰り返すと記録として「庚申塔」を建立した。
庚申塔がいくつも並ぶ
一神教世界の方々からは日本人は無宗教と言われるが、何と様々な宗教に染まる民族だろうか。
ただ日本に入ってくると神様も仏様も八百万神と一緒になり、混じり合う。
庚申信仰には「青面金剛」と言う独特の神を奉る。南方熊楠の考えに寄ればヒンドゥー教のヴィシュヌ神が日本に入り転化したと言う。ヴィシュヌ神は世界が悪の脅威にさらされたり混沌に陥ったときに「維持者、守護者」として地上に現れる青肌で4つの手を持つ神様だ。
庚申も十二支の申があるので、猿→日吉(山王信仰)あるいは幸神とも言われる塞ノ神(猿田彦)と結びついていった。こうしたことから庚申塔の廻りには塞ノ神や馬頭観音(どうやら関係あるらしい)が同居していることが多いのである。
ほぼグシャグシャなのが民間伝承というか民衆の信仰で、現在は更に年間を通じて神様イベントが続々と増殖。経済効果を生み出すまでになっているから、外国人が見聞を深めるごとに頭がおかしくなるのではと危惧している。

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