生乳が余り、このままでは破棄するしかないと大騒ぎしている。
農家は本当に自分の子どものように、可愛がって育てている。
生乳は牛の母乳であり血液であり、簡単に減産増産など不可能なのだ。
以前不足したときは乳牛の飼育を農家に要請し、余ればどうするかの視点がメーカーに欠けていた。やはりメーカー社員が現場を見ることや体験することが少なくなっていることで、現場の本当の苦労を知らない社員が増加し、現場からの発想が無くなっていることも要因だろう。
新米が出回る時期ですね。白飯は本当に美味しいが、最近はその米の消費量が毎年ダウンしている。各県はブランド米創出の競争ばかりに目が行って、肝心の米の消費者を見ていないのではないだろうか。昔から米消費拡大と称した施策はやっているが、○○フェアなどに出展する程度では消費拡大はおぼつかない。
「牛乳離れ」も「米離れ」も根本要因は、人口減少であり特に少子化だと言うことを忘れてはいけない。
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最近、鷹やフクロウなどの猛禽類を見ていますか?
猛禽類がいるところは、在来の土壌菌がちゃんといるところで、健康な地域土壌が存在していると言うことだ。
唱歌「手のひらを太陽に」の歌詞に「僕らはみんな生きている・・・オケラだってミミズだって、アメンボだってみんな生きている」と、やなせたかし氏は書いた。
微生物が居てミミズもいる。ミミズが居ればモグラがいてネズミもいる。その食物連鎖のトップに猛禽類がいるわけで、土地が健康で無ければこの生態系は存在しないのだ。
農業に必要な堆肥を作るには、空気に中の酸素を取り入れて働く好気性微生物がいて、作物に必要な栄養分を作っている。昆虫も空気を消費して生きている。
もちろん木をはじめ植物も微生物が、土中の養分や生物の死骸を酵素で分解し、それを植物が根から吸収して成長している。
まさに土着する神そのものである。
この自然界の循環・浄化システムは、その土地に暮らす人も同様だ。
人間の腸のなかには様々な微生物(200~300種、100~200兆個)が活動し、3000種以上の酵素を作り出して食べ物の栄養素を分解している。その常在菌の中には、その地域オリジナルの菌があり人間を助けている。
これが地産地消での大切なポイントだ。
消化・分解する能力を科学的に調査したしたわけではないが、地元の食材とは相性が良く、人が栄養分を吸収しやすいと考えている。
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世界では砂漠化が進んでいる。かつて栄華を極めたメソポタミア文明やインダス文明は、森林の伐採(焼きレンガ造りのため)や農業の灌漑による表土の塩性化を招き、砂漠化した。現在も米国ほかアフリカ大陸やオーストラリア大陸、南米で塩害による砂漠化が進行している。
いずれも土壌環境を無視した大規模な農地開発が要因である。
江戸時代は東海道など大動脈の街道筋は、燃料確保のため木が伐採されはげ山状態だった。東海道五十三次の版画を見れば明らかだ。
現在の日本の豊かな森林は明治以降の所産である。
また広葉樹などは炭づくりで20~30年で更新されてきた。
最近の土砂災害は大切な森林が何らかの経済優先のため、土壌浸食が発生したものだ。
稲は命の根と言われる。その稲を育てる大地は「命」を生み出す根本だ。
その大地は大丈夫か?生産量の確保のため、化学肥料など多投してないだろうか?
山や川といった地域環境はどうなっているか?
空気を生み出しているのは木であり植物たちだ。
水を貯めてくれるのは豊かな森林だ。
その恩恵にあずかっているのは我々である。