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ウィズコロナの地域創生-観光振興が地域を救う

気づいた人はどれくらいいるだろうか?
我がまちの経済が観光などのサービス業で回っていたと言う事実に。
製造業では地元調達率はなかなか上がらないし、下請けで関係する範囲も限られる。
その点、観光では地元の様々な業態から調達するし、業務の連携が多々発生する。
例えば宿泊施設は農林水産業から料理素材、リネンや清掃、水道やガス燃料、施設維持メンテナンス、警備とちょっと考えただけでも地元の関係先はたくさんある。
さらに宿泊は付近の飲食店や店舗を潤す。車での訪問ならガソリンスタンドが、電車バスなどの移動は地域交通会社が潤うのだ。地域の卸や小売業、土産物で製造業も関連する。とにかく地元調達率が高いのが観光という業態なのだ。
今回、政府の「Go to キャンペーン」はつまらぬ味噌をつけ、実施は8月までずれ込み、その間、都道府県や市町村では観光の復活のため、独自の観光支援策を展開して下支えを図っている。
製造業は企業からの税収は大きいので目立つ。しかし背後の関係先の大きな影響を理解している首長は、当然ながら観光の支援に予算を振るわけだ。
なぜ観光だけに手厚い支援をするかの理由がお分かりだろう。
災害一つで収入が消える観光だが、復元力が強く真っ先に復活するのが、今までの観光だった。
だが今回の未知のウイルスに対しては、その復元力が発揮できていない。
やはり長期の移動制限が足を引っ張っているし、まだ感染被害を恐れる人が多数いるうちは、観光客は戻らない。
観光業界は一般経費のほか不動産や人件費などの固定費が大きいことが特徴だ。
客が減少し赤字だから、経費を切り詰めようとしても限界がある。施設や不動産を切り売りして凌ぐことも難しい。
そのため赤字脱却で手を付ける部分は「人件費」になってしまう。
全国各地の旅館ホテルで雇い止めが発生しているのはこうした理由からだ。
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地方は現在、人口の社会減+自然減に加えコロナ禍でトリプルパンチを浴び、よれよれの状況だ。
地方創生の書き直しが昨年あたりに各市町村で行われたが、もう役立たずになってしまった。
もしかしたら、あなたのまちの計画は『観光戦略=インバウンド戦略=地方創生戦略』になっていないだろうか?
東京五輪を見据えて本年は4000万人を目標としていた政府だが、疫病の前に桜の花と一緒に散ってしまった。それでも菅官房長官は6月19日の会見で、2030年に外国人旅行客を年間6000万人とする目標を実現させたいという考えを示している。
だが全世界のコロナ禍は沈静化するどころか拡大する一方だ。
インバウンド客はしばらく頼りにならない。
私はずっと国内観光客をおざなりしたインバウンド狂騒に警鐘を鳴らしていた。この事態になり、ようやく著名な方々もインバウンドだけの片肺飛行は良くないと言い出した。
今さら感はあるが、当面の観光は、「マーケットは脚下にあり」で書いたように、「ニューノーマル」下では、観光で最も大切な「交流」を制限されるわけで、ある意味とても苦手なのだが、「安心・安全」を第一に考えたサービスの向上と、「遠交近攻」の戦略しかない。
この戦略は地方創生計画にも観光振興計画にもないだろう。
これから再度、計画を見直すことが大切だ。
長期総合計画をもっとも上位に置いているだろうが、本当の上位計画は「観光振興計画」である。
産業振興による雇用創出を促す。
コミュニティの再編や再生を行う。
幼児から高齢者までの生涯教育環境を整備する。
これらを振興するために観光を上位に位置づけるだけで、まったく新しい観光交流が見えてくるはずだ。
禅の言葉に「八風吹不動天辺月」がある。自分を見失いそうになったら、天の月の視点から見てみよう。赤字の出来事があっても不動の気持ちで対処しよう。と言うモノだ(私流の解釈だけど)今は本当に辛いとき。でもチャンスの時でもある。クールな頭で考えたとき、きっと新たなひらめきがあるだろう。
よこね田植(小)2飯田市千代:棚田百選よこね田んぼ

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